市場は「壊れている」とアインホーン氏-データはそれを裏付けず
バリュー株、つまり株価収益率(PER)や株価純資産倍率(PBR)などの指標が低い銘柄の指数は2012年以降、2年を除くすべての年でベンチマークのラッセル1000種指数に後れをとっている。バリュー株は今年初め、成長株との比較で記録的な落ち込みを示した。
アインホーン氏らに言わせれば、この背景にはパッシブ投資資金の隠れた力がある。新たな資金が指数連動の投資信託に流れているため、資金は自動的に勝ち組銘柄を狙う。その結果、往々にして割安となる出遅れ銘柄は敬遠される。そうなると、バリュー投資家は成果を出せず、資金が引き揚げられ、その銘柄がさらに下がるという悪循環が生まれる。
実際、バリュー投資に特化したアクティブ運用ファンドは減少している。ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)の投資信託アナリスト、デービッド・コーン氏がまとめたデータによると、このスタイルに特化した投信とETF(上場投資信託)の数は、15年の1082本をピークに15%減少している。
より広範な投資戦略を持つ銘柄選びのプロでさえ、最近のバーゲンハンティングはほとんど無駄な努力だという考えを受け入れている。バンク・オブ・アメリカ(BofA)のストラテジスト、サビタ・スブラマニアン氏らが3月に行った調査によると、平均的なアクティブ運用ファンドのバリュー株へのエクスポージャーは、モメンタム株のそれを56%下回っており、これは過去15年間見られなかった水準だという。
アクティブ・イン・コントロール
しかしBIのアナリストは、パニックに陥る必要はないことを示唆する証拠を見つけ出した。S&P500種株価指数構成銘柄のパッシブ保有比率を集計し、そのパフォーマンスを比較したところ、期間1年、3年、5年でパッシブ保有比率が最も低い銘柄が他の銘柄を上回っていることをアナリストは発見した。
「パッシブファンドが力強く着実に成長しているにもかかわらず、市場の動きに与える影響は依然として小さい」と、BIのアナリスト、アタナシオス・プサロファギス、ジェームズ・セイファート両氏は最近のリポートに書いている。