日銀マイナス金利導入決定 黒田総裁が会見(全文2)今後の政策展開など
日銀の黒田総裁は29日会見し、マイナス金利を導入する新たな追加金融緩和を発表した。日銀の当座預金の一部について、金利を現在のプラス0.1%から、マイナス0.1%に下げる政策で、黒田総裁は「量と質に金利面を加えた3つの次元で全体として金融緩和を進める」と強調した。
今後の政策展開について
記者A:2点ございまして、今後の政策展開なんですけども、どう、金利を駆使してということですが、次はどれを使われるのか、どういうふうにお決めになるのか、今、お話しできる範囲で。 で、2つ目はECBやFRBは注視してらっしゃるということですが、以前からおっしゃってるように、金利は米国、ひいては世界経済にいいこと、ということですが、米国の利上げペースを少し遅くするとか、ひょっとしたら利上げしないというようなことを仮に、FRBが今後発信されるようなことがあれば、それは世界経済、日本経済にも悪いということなんでしょうか。それとも米国経済にはいいけれども、アジア経済にも必ずしも良くない政策を突き進むリスクがあると、覚悟すべきとうことがあったら。 黒田:今回のマイナス金利の導入によって、マイナス金利付き量的・質的金融緩和ということになりましたので、今後必要に応じて、量・質・金利という3次元の緩和のプールを駆使して、先ほども申し上げたように必要があればですけども、2%の物価の安定目標の早期実現のために必要となればちゅうちょなく、緩和をするということでありますが、いつ、どのようにというのは、あくまでも将来、今後のことでありますし、それ自体、金融政策決定会合で協議して決定すべきことでありますので、ですから、具体的なことは申し上げられません。 FRBやECBの金融政策も当然注目しておりますけれども、それぞれの金融政策はそれぞれの国の必要に即して提供しておられるということであろうと思いますので、私から個別のコメントをするのは従来から差し控えておりますけれども、一般論として、FRBが金利を12月に上げたということは、その際の公式的な文書にも出ておりますように、やはり米国経済の回復がよりしっかりしてきたというご判断でやっておられることだと思いますので、それ自体は先ほども言ったように、あるいは従来から申し上げているように、米国経済がより強く回復するということは、日本経済にとってもプラスですし、世界経済にとってもプラスだと思います。いずれにせよ、今後の利上げ等、その他につきましては、今回のこれもECBの公表文にも示されているようなことでありまして、当然米国経済、あるいは米国経済を取り巻く状況を十分に勘案して適切に公表されたというふうに思っております。どうぞ。 記者B:2点お伺いさせていただきます。まず1点目は、今日のこのマイナス金利導入というのは、ポートフォリオ・リバランスが思ったよりなかなか進んでいなくて、それをもっと促進させたいという狙いがあるのかどうか。あと1点は、総裁のコミュニケーションについてなんですが、総裁は最近までマイナス金利というのは考えていないということをはっきり、再三おっしゃっていました。で、今回、会合を開いて、その議論が変わったということかもしれませんが、マーケットや市場からすると、総裁が今後何を言っても信じられなくなるという可能性もあると思うんですが、それについての懸念やコミュニケーションがちゃんとできてないんじゃないかという指摘についてはどうふうに今後。 黒田:まず第1点につきましては、従来の量的・質的金融緩和も基本的にイールドカーブを引き下げ、インフレ自体を引き上げることによって実質的な金利を引き下げ、それが消費や投資に好影響を与えると。で、その際にはポートフォリオ・リバランスを通じても好影響を与えるということになります。今回のものも基本的なチャネルという点では変わりはありません。 2番目の点は先ほど、別な方もご質問されたと思うんですが、私は先週末にダボスに参ったんですけども、実はその前に帰国したあと、仮に追加緩和を行うとしたらどんなオプションがあるかということを検討してくれ、というふうに事務方に言っておりました。もちろん事務方は、欧州のいくつかの中央銀行がマイナス金利の政策を取ってるということは十分承知してますし、その状況は詳しく分析して、従来から分析してあったわけですけども、先ほど申し上げたような事務方への検討の依頼を踏まえて、オプションを具体的に示してきたということであります。そういった具体案を基に今日、金融政策決定会合において、経済、金融等に関する情勢判断と政策についての討議を行って決定したということであります。