日銀マイナス金利導入決定 黒田総裁が会見(全文2)今後の政策展開など
市場との対話について
週刊エコノミスト:すいません。いいですか。週刊エコノミストのゴトウと申します。2点あります。まず、今回のマイナス金利のことなんですけれど、マイナス金利のことですが、そもそも付利については、日銀が国債を購入する際に札割れを防止する施策として行われてたと理解してるんですが、今回こういう形でマイナス金利を導入すると、かえって量的・質的緩和の実効性を低下させるリスクっていうものが発生するのではないかと思うんですけれど、どのようにお考えなのでしょうか。 もう1点が先ほどの質問と一緒なんですけれど、マーケットとの対話っていうのを、黒田総裁はいったいどのようにお考えなのかと。今回の決定会合が終了後、株式市場が600円高になったかと思うと、200円安とかっていう感じで、極端に乱高下をしていて、日銀の政策そのものが株式マーケットのリスク要因といってもいいんじゃないかというような感じになっていますけれど、先だっての国会での答弁の際にやらないと言ってやられると、誰でも驚くと思うんですけれど、そこら辺はいったいどのようにお考えでしょうか。 黒田:日銀の預金に対する付利につきましては、従来からこういったことで、新しい金融環境の下で大量の国債の買い入れ等をスムーズに進める意味があるということは申し上げておりました。ただ、札割れを防ぐためとか、そういうことではなく、札割れっていうのはときどき、いろんなオペレーションでどこの国でも生じますけれど、世銀的にはあくまでも今回の措置は量的・質的金融緩和をさらに、いわゆる3次元的に大胆な金融緩和を進めていけるようにやったということでありまして、マイナス金利自体は欧州のいくつかの中央銀行ですでにやっておられることでありまして、そういうことも、知見も十分生かしつつ、こういった方法を取ったわけであります。 市場との対話につきましては従来から申し上げてますように、毎回、毎回の金融政策決定会合における議論というものを踏まえて、私は活動をいたしておりまして、金融政策決定会合で政策の調整を行うかどうかを毎回議論し、そこで決定されたことに従って、その後、状況をご説明するということでございます。これは実は他の中央銀行の総裁方も基本的に同様な対応をしておられるというふうに思っています。 それから政策決定会合ごとに、今年からは年8回でございますけど、昨年までは年に14回なんですけども、同じ8回の金融政策決定会合ごとに、それまでの経済、物価、行政、あるいは金融動向というものを十分議論して、そこで次回の会合までの金融政策について調整する必要があるかどうかを議論するということでありまして、その点は全く変わっておりません。そういったことが不必要になるというふうにも思っていません。 日経CNBC:総裁。 黒田:はい、どうぞ。 日経CNBC:日経CNBCと申します。原油価格の見方、改定について、もう一度お尋ねしたいんですけども、今回、物価目標を大幅に引き下げました、あるいは目標達成の時期もあとずれさせた、ほとんど原因は原油だというふうにご説明されてます。それが結局新しいマイナス金利にもつながってくるように思えるんですが、このやはり原油価格次第で変わってしまうというのは、いったいどうなんだろうかと。そもそもここまで原油価格が下がってきた背景を見誤っていたのではないかとか、あるいは今後についてはどんなふうな見通しを持ってらっしゃいますでしょうか。これ、前提として35ドルを起点として上がってく、これ、皆さんの見方をそろえるためのものだと思いますが、そうではなくて、世界景気の減速が原油価格の低下につながったんではないか。今後についてはどんなふうに占ってらっしゃるんでしょうか。