日銀マイナス金利導入決定 黒田総裁が会見(全文2)今後の政策展開など
重要なのは物価安定目標2%を早期実現
ブルームバーグ:ブルームバーグのメイガと申しますが、今日の発表文書の中では日本の経済は回復してるし、物価の基調は着実に高まってるといいつつ、新興国とか、中国からの不安定さが増してるから、それで金融市場も不安定な動きがあるから、それがデフレ脱却マインドにリスクが高まってるっていうふうに書くから、それだからマイナス金利を導入するっていうふうに説明してるんですけど、逆に言えばマイナス金利の導入によって、中国とかほかの国からの影響を完全に阻止することができるかっていうふうに思ってるというふうに見えるんじゃないかと思いますけど、それはどう思いますか。 あと、あとは、総裁が最初、2年、3年、2013年、前のとき、量的・質的緩和を導入したときに、ある意味では分かりやすい政策を導入したんだけど、この2次元から3次元っていう政策を転向して、それでマーケットとの対話ではなくて、国民、日本の消費者に対する、理解ができるかどうか。私、自身、ちょっとごめんなさい、私の場合はちょっと理解しがたいっていう話で、これ、本当に消費者マインドに改善させるクオリティーであるかどうかを確認したいです。 黒田:まず第1点は、展望レポートでもかなりはっきりと、「原油価格の一段の下落に加え、中国をはじめとする新興国・資源国経済に対する先行き不透明感などから、金融市場は世界的に不安定な動きとなっている。このため、企業コンフィデンスの改善や人々のデフレマインドの転換が遅延し、物価の基調に悪影響が及ぶリスクが増大している」ということでありまして、そういったことを踏まえて今回の決定になったということであります。 グローバル化した世界経済の中では、日本経済もその例外ではありませんので、さまざまな影響を受けるわけですけども、その影響が具体的に日本経済についてどういったリスクが増大しているということを踏まえて、決定を行ったということでありまして、日本経済が世界経済から完全に遮断されて、そういった世界でどうこうするということを意味してるわけではなくて、あくまでもこういったことがコンフィデンスの改善とか、デフレマインドの転換を送らせて、物価の基調に悪影響を及ぼすリスクが増大しているっていうことを踏まえて、適切な政策を取ったということであります。 もう1つの質問、もう1回聞かせてもらえますか。 ブルームバーグ:2次元から3次元で、国民の理解が得られるかどうか。 黒田:ああ、理解ができるかどうかね。それは、量的・質的金融緩和のときも、今回も同じですけれども、重要なポイントは、日本銀行が2%の物価安定目標を早期に実現するということに強くコミットして、そのために必要な措置は何でもやるということでありまして、それが人々のインフレ期待、その他、期待の訂正にしっかりした影響を及ぼすということが、ご指摘の消費者も含めた方の日本銀行の政策スタンスに関する理解でも重要な部分だと思います。引き続き従来同様、2%の物価安定目標というのを早期に実現するというために、日本銀行としては必要なことはなんでもやるという姿勢をきっちりと示し、その内容はよく説明して参りたいと思います。 ただ、量的・質的金融緩和のときにも、その中身、具体的な、国債をどれだけ買うとか、平均残存期間がどうとか、ETFやJ-REITも買いますとか、そういう詳細を一般国民全体が理解しないと金融政策の効果がないということではなくて、それは諸外国どこでも同じですけども、あくまでも重要なことは物価安定目標に向けて適宜、適切に必要なことはなんでもやるっていうことを示すことによって、人々のデフレマインドの転換を進める、あるいは物価上昇予想というものをしっかりとアンカーしていくということに尽きるのでもないかと。 今回のマイナス金利付きの量的・質的金融緩和を、量的・質的金融緩和の部分は今回何も変えておりません。日本銀行の準備預金に対する金利について3層構造にして、マイナス金利、0.1%マイナス金利を導入したということでありまして、当然、こういった機会を通じて、先ほどのフリップにもありましたように、市場関係者だけではなく、一般の人にも引き続きよく説明してまいりたいと思いますが、非常に重要なことは、テクニカルなことも市場関係者の方にとっては重要だと思いますけども、一般の企業や国民の方にとって非常に重要なことは、日本銀行は何を目指して、どのようにやっているか、そのコミットの部分はどのようなものかということをしっかり理解していただくということが重要であって、今後とも今の点については引き続き努力してまいりたいというふうに思います。 男性:すいません、予定の時間も超過しておりますが、もう1、2問ほどと思います。よろしくお願いいたします。 時事通信社:すいません、時事通信のです。日中スワップ協定についてお伺いします。日銀は中国人民銀行と日中スワップ協定の締結に向けて話し合いをしていると思います。まだ交渉の途中なので、詳細については明らかにできない部分もあると思いますが、可能な範囲でご説明お願いします。 黒田:ご案内のとおり、従来の通貨スワップの取り決めというのは、チェンマイ・イニシアチブの枠組みに沿った、東アジアの金融為替市場の安定のための短期の流動性供与の枠組みの整備を目的としておりました。報道がなされた新たな通貨スワップ取り組みについては現在、中国人民銀行との間で対話を行ってるところでありまして、具体的なコメントは差し控えさせていただきたいというふうに思います。はい、どうぞ。 読売新聞:読売新聞のです。すいません、このマイナス金利の導入のところで、今後必要な場合はさらに継続されるとあります。3つの次元でということですが、さはさりながら、今回新しく導入したということで、今後の、まあ濃淡あると思うんですが、追加緩和の手段としては当面やはりこのマイナス金利を主に考えていくと思ってらっしゃるのか、その辺りの考えをお聞かせください。 黒田:これは、先ほどのご質問にお答えしたときのお答えと同様となると思いますけども、あくまでも今回はマイナス金利0.1%で導入し、マイナス金利付きの量的・質的金融緩和という形にして、量、質、金利という3つの次元で、それによってさらなる緩和を行うことができるというふうにしたわけであります。具体的に将来、追加的な緩和を行うとすれば、それはどういう経済、物価情勢でどういう金融市場の動向かっていうことを踏まえて、具体的に検討することになると思いますので、今の時点で具体的なお答えをするということは難しいということをご理解いただきたいと思います。 男性:よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。 黒田:どうも。 (完)