久保建英のスタメン落ちは「仕方ない」とスペイン人記者 監督は「望むのは毎試合その力を発揮してくれること」
【物議を醸したゴールパフォーマンス】 決勝点を決めた久保のゴールパフォーマンスを、多くのサポーターや記者はあまり理解していなかった。得点に喜びを感じることなく、腹を立てた表情のまま駆け寄るチームメイトを振り払い、両耳に手を当て、ユニフォームの自分の名前を誇示してみせた。 それは自分をスタメンから外したことに怒りを示すためのイマノルに向けたメッセージだったのか、スタンドから浴びせられた侮辱や罵声への反応なのか、あるいは批判を受けたことへのリアクションなのかは定かではない。いずれにせよ、彼は何かが気に入らなかったのだ。 久保が控えに回ったのは、今後数週間に渡って多くの試合が行なわれる点を考慮した監督の戦術的な判断によるベンチスタートだった。しかしその事実以上に、SNSやメディアだけでなく、チームメイトが反応したこともあって、ラ・レアルの周囲ではニュースになった。 この試合のMVPに輝いたスビメンディは試合後、久保のゴールについて質問された際、先発メンバーに入れなかったことに対する久保の怒りを仄めかした。 「タケはスタメンでないことを知った時、顔を少し曇らせていたが、ベンチから試合に入る選手として正しい姿勢でピッチに出て、僕たち全員を黙らせた」 イマノルは試合後、久保のベンチスタートが「戦術的な判断」だったと明かし、今回のように途中出場の選手の貢献がいかに重要かを訴えた。 「才能があれば違いを生み出すのはより簡単だし、タケは今日、それをやってのけた。ある記者が私に、タケが2月以降ゴールを決めていなかったことを思い出させてくれたが、あのような才能やクオリティを備える選手にとって、その期間はあまりにも長過ぎた」 「彼は今日ゴールを決めてくれたが、我々が彼に望むのは毎試合その力を発揮してくれることだ。彼にはこれまでも出場時間やチャンスがあった。あのゴールが彼の助けになるかを見ていくが、個人的にもチームとしても助けになってくれると思う。ベンチスタートの選手が今日のように出場し、チームに貢献してくれることがとても重要だ」 物議を醸したゴールパフォーマンスについても質問されたが、重要視していなかった。 「彼は多くの選手が普段やるようにゴールを祝い、ユニフォームの自分の名前をカメラに示していた。私はそう理解しているが、それは彼に聞いてほしい。特別な人に捧げたかったんだと思う」 ラ・リーガ開幕早々に大きな話題を呼んだ久保はこのあと、今季最初の過密日程に臨み、代表戦を迎えることになる。 (髙橋智行●翻訳 translation by Takahashi Tomoyuki)
ウナイ・バルベルデ・リコン●取材・文 text by Unai Valverde Ricon