久保建英のスタメン落ちは「仕方ない」とスペイン人記者 監督は「望むのは毎試合その力を発揮してくれること」
【スタメン落ちは、チーム状況的に仕方がない】 初戦をひどい内容で敗れ、大黒柱のミケル・メリーノに別れを告げなければならず、アンデル・バレネチェアの新たな負傷が発覚......。さらにチームを構成する上で必要な攻守の要となる補強をできていなかったこともあり、第2節エスパニョール戦に向けたチームとサポーターの士気は、あまり高くなかった。 8月28日(水)にホームで第3節アラベス戦、9月1日(日)にアウェーで第4節ヘタフェ戦に臨むため、エスパニョール戦では最小限のローテーションが行なわれた。チーム全体の調子が不安定だったのとラージョ戦での悪いイメージを払拭するために、イマノルは適切な処置を施そうとして先発メンバーをふたり入れ替えた。 ウルコ・ゴンサレスに代わってマルティン・スビメンディが中盤に入り、右ウイングにはセルヒオ・ゴメスが起用された。そのため久保はベンチスタートとなった。セルヒオ・ゴメスは開幕戦では途中出場からミケル・メリーノの左インサイドハーフに入ったが、この日は右ウイングでのプレーを指示された。 ラ・レアルサポーターも専門紙も、久保のスタメン落ちはチーム状況的に仕方ないことだと受け止めていた。チームのフィジカルコンディションの悪さや過密日程、ラージョ戦の内容のひどさから何かを変えざるを得ないため、エスパニョール戦ではテコ入れが必要だった。イマノルはシェラルド・ベッカーとミケル・オヤルサバルへ信頼を寄せ、セルヒオ・ゴメスは五輪で見せたレベルの高さにより、久保の代役を十分務められる選手と位置づけられてのローテーションだった。 しかし、今回のベンチスタートはあくまでローテーションであり、アラベス戦とヘタフェ戦の先発候補であることは間違いない。一方、もしエスパニョール戦で久保が先発していたなら、おそらくアラベス戦は控えに回っていたはずだ。 エスパニョール戦で久保の代わりにスタメン起用されたセルヒオ・ゴメスはチームの主な決定機を演出するいいプレーを見せたが、チームのパフォーマンスはそれほど向上しなかった。守備の堅さは示したものの、チャンスを生み出すのに苦労していた。 その流れを変えるため、イマノルは後半21分に最初の交代で久保を投入する。これによりセルヒオ・ゴメスは中盤にポジションを移した。久保は徐々に右サイドを支配し始め、何カ月も前からいいパフォーマンスを発揮できていなかったことに対する"怒り"を積極的に生かしたような、自身の価値を証明する決定的な働きをしてみせた。 久保は正真正銘の"ゴラッソ"を決めたのだ。相手左サイドバックと対峙し、鮮やかな股抜きで決定機を作り、左足でGKジョアン・ガルシアを撃ち抜く見事なシュートで1-0にした。さらに終盤に重要なファウルを誘発して時間を稼いだ。ラ・レアルが今季初勝利を手にしたのは彼のおかげだ。 ベンチスタートからチャンスを生かした久保は、すばらしいプレーで先発であるべきことを証明した。久保にとってここ7カ月間で2点目、2月18日のマジョルカ戦以来のゴールとなったが、チームにとっても重要な意味を含んでいる。それは「久保がゴールを決めるとラ・レアルは負け知らず」というもの。その成績は15勝1分けとなっている。