【『No No Girls』レポート#10】りょんりょん先生が教える“プロのアーティスト”の心構え「近くの人から愛されてもいないのに、全国的に愛されるわけがない」
ちゃんみなが説く“自分”を表現する重要性
午後は、りょんりょん(佐藤涼子)先生のボイストレーニングだ。 「Tiger」を全員で披露したあと、個別レッスンへ。JISOOにはライブ現場でよく耳にするあの“マイクチェック”を用いながら表現方法を教えたり、KOKOAには「余裕のある笑顔のドヤ顔」を表現してみるようにアドバイスするなど、りょんりょん先生は短い時間の中で、メンバーに新たな表現を身につけさせていく。 合宿5日目。「Tiger」のレコーディングが始まった。 トップバッターはJISOO。彼女は、ちゃんみなから「らしさ」を出すようにと指示される。無事にレコーディングは終わったが、自分らしさを保ちながら弱点をどうカバーするか悩んでいるようだった。りょんりょん先生の指摘を受け、JISOOは必死に歌唱法の幅を広げようとしていた。 続くKOKOAは好調だった。りょんりょん先生のレッスンをうまく自分の表現に消化させているようだった。ちゃんみなは、そんな彼女にコーラスも注文。かなり高音域だったが、それもすんなりとやってのける。張り詰めていて力強い彼女の声にちゃんみなは興奮。「いやこれ泣くよ、誰か。最高です。ありがとうございます。ごちそうさまでーす」と大絶賛だった。 レコーディングは順調に進んでいく。すべてを終え、最後に通しで聞いて最終確認。ちゃんみなもメンバーたちも満足そうだ。しかし、JISOOは納得がいってない様子。ちゃんみなが「大丈夫?」と話しかけると、JISOOは涙を目に浮かべる。 JISOOは自分らしくない声に違和感を抱いていたようだ。それならと、ちゃんみなは録り直しを提案する。 実はこれまでもJISOOが不満そうな顔をしていたことは度々あったという。ちゃんみなはそんな彼女のことを心配していた。「泣かせたくはないけど、やっと泣いたのでちょっと安心しました。いっぱい我慢していたんだろうなって感じていたので。ちょっとくだけたJISOOを見られてよかった」と、あとでスタッフに明かしていた。 再レコーディングをする前に、JISOOは落ち着きを取り戻すために外へ。ちゃんみなもそばで寄り添っていた。韓国から来日してオーディションに参加しているJISOO。そんな彼女にちゃんみなは韓国語で話しかける。「大丈夫、大丈夫、たくさん我慢したんだね」と。JISOOは、「ここまでちゃんと泣くのを我慢してきたのに……」と肩を震わせる。 そのあと、ふたりはこんな話をしていた。 JISOO「ずっと声の調子もよくなくて、状態が悪くて」 ちゃんみな「JISOOっぽくないってことだよね」 JISOO「はい、でもそれに慣れなきゃいけないのに……」 ちゃんみな「いや、慣れる必要ないよ。少し勘違いしていると思う。JISOOっぽい声で歌うなということではなくて、悲しい声、うれしい声、いろいろやってほしいという意味だったと思う。違う声を作らなきゃって考えたら、絶対にダメ」 「JISOOが違う自分にならなければいけないと思うのは違う」とちゃんみなは念を押す。「この曲をJISOO自身はどんな声でみせたいのか」それを聴いている人は一番気にしている。だからJISOOが、この曲でどんな自分を表現するのかが一番重要なのだと続けた。 この日は納得がいくまでレコーディングを行った。そのあとのインタビューでもJISOOは、またしても涙。泣かないと覚悟を決めて来日したが、これまで抑え込んでいたぶん、一度あふれた感情をどう抑えたらいいのかわからなくなっていた。「(自分の声を)聴いたときになんか足りないと思って、私の声じゃないよって思ったし、テクニックも足りなかったし、悔しかったです」と、彼女は吐露した。