ラグビー全国大学選手権、関東リーグ戦勢よ奮起せよ 不振の理由は意外なところにあった?!
【ベテラン記者コラム】ラグビーの全国大学選手権に出場する14校の顔ぶれが出そろった。このうち関東リーグ戦からは7年ぶりに優勝した大東大、チーム史上最高の2位に入った東洋大、7連覇を逃して3位となった東海大の3校が出場する。 【写真】7年ぶりの優勝が決まり、歓喜する大東大の選手たち しかし、このところ選手権でのリーグ戦勢の影が薄い。2016年度の第53回大会から現行のような14校による変則トーナメントとなり、関東からは対抗戦、リーグ戦とも秋のリーグの上位3校が出場。前年度優勝校と準優勝校が所属するリーグに、さらに1つずつの枠が与えられる。だがリーグ戦は7大会連続して決勝進出校がなく出場3校どまりが続き、昨季、一昨季はベスト4にも入れなかった。 まさに不振と言いたいところだが、その理由として、大東大の酒井宏之監督が優勝直後のインタビューで面白い私見を述べた。 「留学生が多いので、彼らを相手にすることで疲れちゃうんですよ」 なるほど、そういう視点もあるのかと、膝をたたきそうになった。 リーグ戦の留学生といえば、1981年に大東大に入ったNO・8ホポイ・タイオネ、WTBノフォムリ・タウモエフォラウの、トンガ出身の2人を嚆矢(こうし)とする。2人とも日本代表となった。85年にはNO・8シナリ・ラトゥ、WTBワテソニ・ナモア(故人)が加わった。大東大は大学日本一にまで上り詰め、〝トンガ旋風〟ともてはやされた。 以降、現在までトンガをはじめフィジー、ニュージーランド、南アフリカというラグビー強国からリーグ戦各校にやってくる選手が大量に増えた。今季の選手名鑑で数えてみると、1部8校でざっと40人余り。これは対抗戦や関西リーグと比べても抜きんでて多い数字だ。留学生がいないのは法大のみで、最近の特徴としては日本の高校を経て入学する選手が多くなった。平均して各校5~6人。このうち同時出場できるのは3人までとなっている。 これら留学生がキーマンになっているチームは多く、対戦相手にすれば対策を考えて臨まなければならない。トンガ出身選手が多いのでアイランダー特有のフィジカルの強さがあり、そういう相手との戦いはシンプルに疲労度も高くなる。「疲れちゃう」という酒井監督の言葉には、実感がこもっている。 かといって、留学生が入学する流れは今後も変わらない。本来チームを強くするための彼らの存在が、大学選手権に向けてのデメリットとなっては本末転倒。ここはひとつ、日本人選手が奮起して、留学生に対抗できる強靱(きょうじん)な体となるよう、日ごろからコツコツ鍛えてもらいたい。(田中浩)