糖尿病治療でよく聞くインスリン注射って何? 医師が解説するインスリン療法の効果や種類・打ち方
糖尿病に対する治療として、多く用いられるインスリン注射。一体、インスリンを注射することでどのような効果が得られるのでしょうか? また、打ち方や注意点は? 清水ヶ岡糖尿病内科・皮フ科クリニック院長の清水先生に教えてもらいました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
糖尿病治療でよく聞くインスリンとは? 糖尿病になると患者はインスリン注射が必要? 仕組みと効果を医師が解説
編集部: インスリン注射とはどのような治療ですか? 清水先生: 主に糖尿病の患者さんに対して行われる治療で、インスリンを注射することで不足しているインスリンを補う治療法です。 編集部: 糖尿病になると必ずインスリン注射が必要なのですか? 清水先生: いいえ、必ずというわけではありません。 そもそも糖尿病には1型と2型があり、1型は主に自己免疫の異常により、インスリンを分泌する細胞が破壊され、インスリンがまったく出なくなる、あるいは出たとしてもごく少量になってしまう病気です。その場合は、インスリンを基本的に体外から補う必要があります。 編集部: 1型の場合は基本的にインスリン注射が必要なのでしょうか? 清水先生: 1型糖尿病は3タイプに分類されます。厳密にいうと、場合によってはインスリンを使わないこともありますが、基本的に「使う」と考えていただいて良いと思います。 編集部: それでは、2型の場合はどうでしょうか? 清水先生: 2型は生活習慣と遺伝的な要因が組み合わさって発症する糖尿病です。この場合、インスリンの分泌量が少なかったり、分泌のタイミングが遅かったりして、高血糖の状態になってしまいます。 2型糖尿病の場合には、まず食事療法や運動療法、場合によっては飲み薬を服用し、それでも効果がなければインスリン注射が必要になります。そのほか、肝臓や腎臓に障害があったり、感染症にかかったりしているときにもインスリン注射が必要になります。 編集部: 2型の場合、いきなりインスリン注射を行うことはないのですか? 清水先生: 極度に高血糖の状態になっている場合には、最初からインスリン注射を使うこともあります。いずれにしても、どのような治療法を採用するかは、その人の状態に応じて決定します。 編集部: インスリンを注射するとどうなるのですか? 清水先生: インスリンを注射することで、体内の血糖値を適正にコントロールすることができます。またインスリンを注射によって補うことで、無理にインスリンを分泌しようとする膵臓の疲弊を防ぐ効果が期待できます。そのほか合併症の進行を遅らせる効果も望めます。 編集部: 2型糖尿病の場合、インスリン注射を始めたら一生、打ち続けなければいけないのですか? 清水先生: いいえ。現在では「早期インスリン療法」といって、なるべく早い段階からインスリン注射を始めるのが一般的で、それによって膵臓を一旦休ませることができ、回復が進めばインスリン注射を減らしたり、治療を中断したりすることもできます。 極度に高血糖の状態が続いている場合には、この治療法を採用することが多いですね。