森喜朗会長「止めたら倍のお金かかる」五輪中止論に反論
東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は17日、新型コロナウイルスの影響で来年夏に延期された五輪の競技日程と会場などの準備状況について、テレビ会議で開かれた国際オリンピック委員会(IOC)総会で報告し、承認された。総会後に会見した組織委の森喜朗会長は「コロナには気をつけないといけないが、安心して東京を目指していただきたい」とアスリートに呼びかけた。 【動画】東京五輪組織委・森会長らが会見 新たな競技日程決定など報告
静かなる五輪への期待「まだまだ定着」
東京五輪は来年7月23日(金)に開幕、8月8日(日)までの17日間、史上最多の33競技・339種目が42の競技会場で行われる。延期前の日程と1日ずれるが曜日はまったく同じ。「全種目とも予定通りの場所で、1年ずらして同じ日程でやれることが決定した」と安堵し、会場確保に奔走した組織委メンバーの労をねぎらった。 森会長が語気を強めたのは、東京都の小池百合子知事が366万票もの得票で再選を決めた都知事選で、五輪中止などを掲げた候補者らの主張に対して言及したときだった。 「申し上げないといけないのは」と切り出し、「多くの候補者が意識的に五輪について言っていたのは、どちらかと言うと慎重論が多かった。止めたら今の倍のお金がかかることを全く考えていない。いったい何を考えてものを言っているのか」と批判。 それに対して小池氏は「五輪に対しては逃げないで、きちんと説明していた」ことが都民に評価されたとして、「静かなる五輪への期待がまだまだしっかり定着している」との見方を示した。 記者から「倍のお金がかかる」の真意を問われると、「たとえば、で言ったのであって」と弁明しつつ、「常識的に考えても、一生懸命投資したものが完成を見ずして終われば無駄になるんじゃないか。補償しろとか、だれがそれを弁償するのか。そういうことを考えれば倍にも3倍にもなる。分かるんじゃないかな」と述べた。
現在抱える最大の課題は「コロナ対策」
武藤敏郎事務総長は「現在抱えている最大の課題はコロナ対策」だと指摘し、これを議論するために、国・東京都・組織委の3者を中心とする会議体を設けることを明らかにした。 具対的な検討は秋から本格化させるとしたが、出入国の管理や検査・医療体制の充実、宿泊・輸送における対策などについて、「国がイニシアチブを取って」(武藤事務総長)議論することを求めた。 森会長も「国民、都民の皆さんは五輪もさることながら、今はやっぱりコロナのことだと思う」と神妙に語り、来夏に向けて「怠りなく準備していきたい」と述べた。