五輪延期で組織委会見 コロナ収束「誰も明言できない」「人間の英知に期待」
東京2020大会組織委員会が会見(THE PAGE)
「平和の祭典」が史上初めて延期されることになった。新型コロナウイルスの世界規模での感染拡大を受け、7月に開幕予定だった2020年東京五輪は、24日夜の国際オリンピック委員会(IOC)バッハ会長と安倍晋三首相の電話会談で「1年程度延期」されることが合意された。感染収束について「今の時点で誰も明言できない」「(新薬開発に)期待しようじゃないですか」と語った大会組織委員会の森喜朗会長らの言葉には、未知のウイルスとの戦いの不透明さがにじんだ。 【写真】2021年開催方針が決まった東京五輪 「延期論」を発言で振り返る
●大会中止は選択肢にない
「『大変残念だ』という思いと『やれやれ』(という思い)と。計画されていたもの以上に良い五輪ができるように進めていきたい」 1年程度の延期が決まった思いを問われ、森会長はこう語った。「やれやれ」の真意については「バッハ会長と安倍首相の突然の会談によって、みなさんの心配・疑問に一つの方向性を示したということで『やれやれ』と、ほっとした」と付け加えた。 バッハ会長と安倍首相の電話会談には、森会長をはじめ、東京都の小池百合子知事、橋本聖子五輪担当相らも同席した。会談では東京五輪について、▽大会中止は選択肢にない▽年内に開催することも不可能▽遅くとも2021年夏までに実施――などの3点で合意した。 これに伴い、3月26日からスタートする予定だった聖火リレーはスタートせず、聖火は「希望の道標」として日本に留まることが組織委から明らかにされた。安倍首相の提案で聖火は当面、福島県で保管されることになるという。森会長は「(福島県の)内堀知事に電話したら大変喜んでいた」と話した。
●「東京2020」は変わらない
2021年に延期はされるが、大会名称は「東京2020」のままになる。大会規模については「どういう形になるか、膨れ上がるかもしれないし、多少は縮小するかもしれないし、これから議論すること」と述べた。 記者から、組織委の中で年内案や2年後案の議論もあったのでは、と水を向けられると「2年先とか色んな意見があったと思うが、あくまで外側(メディアなど)の意見。内側で私たちの中で相談したことはない」と指摘。「たとえば2022年(開催)になったら『東京2020』と言えなくなる。21年だから延長して(そう)なったと考えていくしかない」との解釈を示した。 五輪の目玉競技であるマラソンは、東京の夏の酷暑を理由にIOCによって札幌開催に変更された経緯がある。今回の延期でそれが見直されるかについては「大きなフレームは変わらないと思うし、変えてはいけないと思う」。暑さ対策が新しい日程を決める上での判断材料になるかについては「(スケジュールは)『夏までに』と決めている。もっと早くなるかもしれないし、会場の準備とかをつなぎ合わせていかないといけない。結果として真夏が避けられれば、こんなハッピーなことはない」と語った。