大企業の後ろ盾なし、設立2年でリーグワン参入果たしたラグビークラブ「ルリーロ福岡」の驚きの“稼ぐ仕組み”
「ラグビーは他のスポーツより、競技に必要な人数が多いという“負”の面があります。選手たちが全員プロであれば、40~50人分の人件費が乗ってきます。僕らとしてはこれを分散させたい。一方、地方の企業には深刻な人材不足という“負”があります。そもそも地域に20~35歳の生産年齢人口がいないんです。そこに、働き盛りの元気な人材が、チームの設立によって現れた。別にこちらがゴリ押ししているわけではありません。クラブと地域・企業、お互いのニーズがマッチしてこのようなモデルが成り立っていると思います」 「実業団からリーグワンになって少し変わってきましたが、ラグビークラブには働きながらプレーするという慣習がまだあります。選手たちをきちんと“ビジネスアスリート”に育てることも意識しながら、ラグビークラブだからこそ目指せる新しい地域統合のモデルを作っていきたいですね」 ■ 「ルリーロモデル」に再現性はあるのか ここまでの歩み、取り組みは、他のクラブでも再現性があるのだろうか? 「正直なところ分かりませんが、恋愛に必要な“3つのING”というのがありますよね。ルリーロの場合も、タイミング、フィーリング、ハプニングというそれらの3つのINGがたまたまハマったんですよ(笑)」 すなわち新リーグが立ち上がり、新規参入チームを受け入れるというタイミング、クラブ立ち上げのもう一人のキーマンである浮羽究真館高校の吉瀬監督、うきはとのフィーリング。さらに県内の強豪、コカ・コーラとサニックスの廃部というハプニングも味方した。 前例のないチャレンジ、「同じことをやれるものならやってみろ」そんな島川氏の自負もひしひしと感じる。 現実的に地元企業への就職サポートなどは、大都市・大企業母体のチームでは難しそうだと感じるが、何より積極的に新規事業を展開し、選手にも個人スポンサー制を用意するといった「稼ぐマインド・仕組み」は大いに参考にすべきではないだろうか。 来シーズンのリーグワンでルリーロ福岡がどんな活躍を見せてくれるのか注目したい。グラウンドでの戦いでもあっと言わせられるか。
竹林 徹