大企業の後ろ盾なし、設立2年でリーグワン参入果たしたラグビークラブ「ルリーロ福岡」の驚きの“稼ぐ仕組み”
中でも大きくなっているのが「ビジネスマッチング」だという。 「ルリーロを応援いただいてる地元の企業さんと、九州福岡方面への進出を考えている大都市圏の企業さんとをつないでいます。ラグビーというコンテンツを中心に、ルリーロを応援しながら地域の事業も盛り上げようという“ルリーロコミュニティ”“ルリーロ経済圏”が出来つつあります」 確かに近年、福岡は企業の進出先として人気が高まっていると耳にする。このビジネスマッチングの需要は大きそうだ。そしてその事業の前提となるのは、地元企業への積極的な働きかけと、それによって生み出された強いつながりだ。 選手一人ひとりが営業マンとなってドブ板営業、自分の言葉でチームのビジョンを語った結果、獲得した協賛企業の数は300を越える。潜在的に応援してくれる企業の円はさらに大きいという。 島川氏自身も周辺自治体まで足を運び、各地域のロータリークラブ、ライオンズクラブなどにもこまめに顔を出している。「また来たな」と言われるほど通っているそうだ。これまで2000枚は地元企業や自治体関係者に名刺を渡してきたという。 「地元の経済団体の前でお話しする機会が増えてきました。そこからまたビジネスチャンスが生まれることも多いんですよ」
■ 選手への固定給はなし? 裏には驚きの「仕組み」が 支出面は人件費が大部分を占め、他に遠征費やチームウェア・グッズ関連費などがかかる。トータルでは売り上げほぼ同額で、収支は今のところトントンとのことだ。 ただ興味深いのは、この人件費に選手の固定給は含まれていないという点だ。実はルリーロ福岡では、選手への固定給は存在しないのだ。 その代わりに、選手自身が収益を得るためのユニークな「個人スポンサー制度」という仕組みを提供している。 アプリや公式HPから、ファンや企業は選手個人のスポンサーになることができる。スポンサー名は選手のプロフィールページに記載されたり、ユニフォームにプリントされたりする。そしてそのスポンサー料は100%選手に還元されるのだ。 「これからの時代、ラグビー選手にも、自分を商品として売り出すビジネス経験を積んでほしいんです」 実際の収入にはかなりの差があるようだ。「年間数百万円を得ている選手もいれば、ほとんど収入がゼロの選手もいます。天と地の差があるというのが正直なところですけど、こればかりは行動力の問題だと思っているんですよ」と島川氏。 最初は不平不満を口にする選手もいた。だが、他の選手の成功例を見て徐々に「自分で稼ぐ」意識が芽生えてきているという。現在、選手の収入はこのスポンサー料と、地元企業からの給与の2本立てとなっている。 そして、その地元企業への就職もルリーロ福岡がサポートしている。クラブは「地域の人事部」「地域の就職エージェント」として、選手と企業のマッチングを行っているのだ。「お互いの“負”がマッチした結果」だという。