身体障害者野球 日本代表選手と理学療法士が語るこれまでの歩みと今後の展望「第59回日本理学療法学術研修大会 in東京」
続いては土屋選手。高校一年の8月、練習後のグラウンド整備の際に操作していた整備機に右手を巻き込まれてしまい、利き手の指を4本失った。 千葉ドリームスターにはこの年の暮れに出会い、入団を即決。以降は利き手を替えながら順応し、目標だった日本代表入りを果たした。 理学療法士との関係については藤川選手と対称的で、競技に復帰してから関わるようになった。 怪我の予防やパフォーマンスアップを一緒に考える中でインソールの製作や、チームの練習に来た際には意見交換をするなど知識を吸収している。 特に理学療法士の存在が大きかったと感じた話を披露した。 「世界大会2ヶ月前に肉離れをしてしまい『なんとか大会に間に合わないか』と無理を言って様々な治療法を施してもらいました」 土屋選手からも今後の身体障害者野球と理学療法士において期待することについて述べた。 「長く野球をするためには理学療法士さんの知識や経験が大きな力になります。体のケアやディスカッションすることで新たな気づきになることで選手としての可能性が広がると感じています」
競技に携わる現役理学療法士の考えとは
選手に続いて講演を務めた現役理学療法士の方々。佐々木さんと村岡さんは身体障害者野球発祥のチームである「神戸コスモス」のサポーターとして在籍している。 「NPO法人 日本身体障害者野球連盟」の理事でもある佐々木さん。競技がより発展するため、理学療法士としてサポートができることについて、実践している例を挙げた。 「怪我の予防やパフォーマンス向上に向けたサポート。例えばコンディショニングやトレーニング方法の提案などをできるのではないかと思います。 6月の全国大会ではコンディショニングブースを設置して、選手のケアを行いました。選手が安心して競技ができるようなサポート体制を目指していきたいです。また、理学療法士に関わらず、ぜひ身体障害者野球をご覧いただき、関心を持っていただけますと幸いです」