大事なのは「腰」!疲れにくい体と乱れない心をつくる「狂言の伝統」をもとにした「正しい立ち方」
狂言の技法や所作を活用した健康法、「和儀」。その中でもっとも基本的なメソッドが、狂言の伝統的な立ち方をもとにした「和儀の構え」だ。全身のバランスを整え、血流をよくし、健康な身体を保つ効果があるという「和儀の構え」のやり方を、著書に『和儀 医師もみとめた狂言トレーニング』がある、狂言師の茂山千三郎氏が教える。 【写真】快適な睡眠は「ふくらはぎ」が決める…!「夜のトイレ」はこう防ぐ
狂言の伝統的な立ち方がもとになっている
和儀における正しい立ち方「構え」は、狂言の伝統的な立ち方をもとにしています。 この立ち方は、身体の軸を意識し、全身のバランスを保つことが可能です。 正しい立ち方の基本ですが、足を逆ハの字にしてかかとを拳一個分開けることから始めます。足の指(とくに親指)は床(地面)をギュッとつかむようなイメージです。 この立ち方を基本とし、手は指先をそろえて親指を畳み、その状態で親指を鼠径部(太もものつけ根のくぼみから少し上にある、三角状の部分)に置きます。手首は曲げないように意識しましょう。 さらに、身体の軸を垂直にし、膝を軽く曲げて腰を落とします。 このとき、頭の頂点にある百会と会陰を結ぶラインを意識することが重要です。 丹田から下は大地に、丹田から上は天に向かって伸びるような感覚で立つと、身体全体のバランスが取れ、安定した姿勢を保つことができます。 また、胸を開いた状態で、顎の位置を意識し、頭の軸を整えることで、自然と正しい姿勢が身につきます。 なお、顎の位置は、頭の軸位置が決まれば自然と決まるはずです。 正しい立ち方を身につけることで、全身のバランスが整い、血流がよくなって健康な身体を保つことができます。 日常生活でも応用でき、姿勢を改善するための基本的な立ち方として非常に有効です。
「丹田」で体幹をきたえて心を整える
和儀のメソッドでは、丹田を意識することが重要な要素として、くり返し強調されています。 丹田は身体のエネルギーの中心として、古くから重視されてきました。 とくに狂言の技法では、丹田を意識した呼吸法や姿勢が基本であり、それが体の安定感やバランスを生む基盤となっています。 狂言に限った話ではなく、丹田を意識することは、単に呼吸法や姿勢に留まらず、すべての動作に影響を与えます。 たとえば、立つ、座る、歩くといった日常の基本的な動作にも、丹田の意識を取り入れることで、動作がスムーズになり、無駄なエネルギーを使わずに済むようになります。 丹田を意識して動くことは、体幹の筋肉を効率よく使うことになります。 その結果、自身の身体の力を最大限に引き出すことができます。 丹田を意識することで、エネルギーの流れが整い、体全体のバランスが向上して、姿勢が安定するのです。 和儀では、丹田を意識することで身体の軸を感じ、すべての動作がその軸を基準におこなわれます。これにより、日常の動作が楽になり、身体の無駄な緊張を解消し、疲れにくい体を作ることができます。 また、丹田を意識することは、体幹をきたえるだけでなく、心の安定にもつながります。 自分の中心を感じることで、内面的な安定感が生まれ、精神的なバランスを保つ助けとなります。 和儀の実践者にとって、丹田を意識することは、心身の健康を保つための基本であり、すべての動作の基盤となります。 ですから、丹田を意識することで、より健康でバランスの取れた生活を送ることが可能となるのです。