過去最多34万人超という衝撃…!「東大卒の父親」の子供が不登校になりやすいワケ
最新の不登校児童生徒数(令和5年度調査)が10月31日、文部科学省から発表された。11年連続で過去最多を更新し、34万6482人――。30万人を超えるのは初めてのことだ。中学生では15人に1人が不登校という衝撃的な状況である。 【マンガ】首席なのに選抜クラスに入れない...首都圏の中高一貫名門校の残酷な格差 専門家によると、実は不登校になる子どもに、東京大学など有名大学出身者の子どもが多いという。恵まれた家庭環境であるはずなのに、なぜ不登校になってしまうのか。 『もう悩まない! 不登校・ひきこもりの9割は解決できる』(実務教育出版)の著者である、花まる学習会代表の高濱正伸さんと、一般社団法人不登校・引きこもり予防協会代表の杉浦孝宣さんに、その実態を聞いた。
原因は「受験システム」にある
高濱さんは「30年以上前から、日本の教育システムは不登校や引きこもりを量産してしまうと危機感を持っていました」と話す。 「今では大学受験に総合型選抜や学校型選抜など、多様な受験方式が出てきましたが、それでも、偏差値表の上位ほど中学受験、高校受験、大学受験ともに一発勝負の筆記試験が重視される受験システムが主流のままで、30年前からあまり変わっていません。そして、受験に熱心な家庭のなかには、子どもが不登校や引きこもりになってしまう落とし穴があるのです」 約30年にわたって花まる学習会で指導してきたなかには、不登校になったから入会するという家庭も少なくないとし、相談にのるなかで共通点が見えてきたという。 「不登校の子どもたちを見ていると、多くは自分に自信を持っていません。なぜでしょうか。それはいつも比較されているからです。お母さんたちは孤独に子育てをしている場合が多く、不安ですぐにママ友の子どもと比較してしまいます」 そして、お母さんたちは子どもたちにこんな声かけをしてしまっているという。 「隣の〇〇ちゃんはもう塾に行っている」 「△△君は偏差値60で××中を目指しているらしいよ」 「□□君はあんなにできるのに、なんであんたはできないの」 「少しでも偏差値の高い学校に子どもを入れようと、子どもに『勉強しなさい』『あと偏差値5上げれば××中に入れる』など細々干渉するわけです。子どもの成長にとって一番大事なのは、心です。自己肯定感です。これをしっかり、しなやかに育てておけば、勉強なんて、歯車がかみ合えば後からいくらでも追い付きます。それなのに、親自身が偏差値とか学歴とかフレームに囚われていて、そっちばかり気にしている。子どもの心に焦点を当てて育てていないのです」 そして、その傾向は、「お父さんが東京大学などの有名大学卒業や、大学教授、医師など、エリート家庭の場合によく見られます」と実態を打ち明ける。 「高学歴で勉強ができたタイプのお父さんは、自分が受験フレーム(偏差値競争)を勝ち抜いているせいで、子の心に焦点を当てるという第一歩を忘れて、過去の自分と比べて、『どうしてこんなこともわからないんだ』『さっき言ったことをもう忘れたのか』などと厳しく子どもに当たってしまうことがあります。これでは子どもが自信を失い、やる気をなくすだけです」