過去最多34万人超という衝撃…!「東大卒の父親」の子供が不登校になりやすいワケ
「人生で一番がんばったことは中学受験」
杉浦さんも「私が代表理事を務める不登校・引きこもり予防協会で相談にあたっているご家庭も、特にお父さんが高学歴のケースが多いです」と指摘する。 お父さん自身は、たいていは地方の公立高校の出身で、自分の力で受験を突破してエリートになったのに、自分の子どもには中学受験させていることが多いそうだ。 「不登校や引きこもりの子どもと面談して、これまでの人生で一番がんばったことは何かと聞くと、ほとんどの子が『中学受験』と言います。中学受験の過熱が、不登校や引きこもりを助長しているともいえます」 杉浦さんは「子どもが不登校や引きこもりの家庭は、子どもの意思を無視して、中学受験や早期教育、英語教育、そういったことばかりに夢中になっている親(特にお母さん)が多いですね」と話す。 「小学生のうちはまだ親に反抗できませんから、自分でも気が付かないうちに親の期待に応えようとして、無理して勉強や習い事をがんばるのです。小学校時代は毎日塾や習い事があったと話す子も少なくありません。でも、中学生になって自我が強くなってくると、親の言うとおりにすることに反発し始めます。中学受験が終わると燃え尽き症候群のようになってしまい、入学してすぐや、ゴールデンウイーク明け、もしくは1学期中はなんとか頑張っても2学期からは学校に行けなくなってしまうのです」 東京という場所柄もあるが、相談者の9割が中学受験を経験しているという。
大切なのは「比較しない子育て」
では、不登校や引きこもりにならないためには、どうしたらいいのか。 杉浦さんは、「〇〇中に合格したから、英検〇級に合格したから、とほめるのでは、子どもは成績や成果を出さないと愛されないと感じてしまいます。そうではなく、ありのままの子どもを認めて愛することです」という。 高濱さんも、「無償の愛で育てることです。子どもの将来のために勉強させる、将来のために小さいうちから英語を習わせる、というのは無償の愛ではありません。ただただ、子どもがかわいい、好きで好きでしょうがない、そういた無償の愛が必要なのです」という。 具体的には、小さいときからよくスキンシップをして、言葉で「あなたが大事だよ」と何度も伝え続けることだ。 それでも、子どもが小学生になれば、親はついクラスの子と比べてしまいがちだ。 「そこで、お父さんの出番です」と高濱先生は言う。 「『うちは中学受験しないで、のびのびやらせよう』『後伸びする子どもにするために、今はたっぷり遊ばせよう』『背伸びをせずに、子どもにあった学校を受験しよう』など、家庭の方針をしっかりお母さんと話し合って決めましょう。するとお母さんは安心するのです。お母さんの心が安定していると、子どもは元気に育っていきます」 2人の共著『もう悩まない! 不登校・ひきこもりの9割は解決できる』では、さらに詳しく不登校や引きこもりを解決できる方法を明かしている。どんな子どもでも不登校になる可能性があるといわれる現代、そうならないためのヒントとしても、ぜひ参考にしたい。
小山 美香