羽生結弦の4回転アクセル世界初認定と4位入賞の価値とは…「切り拓いたフィギュア界の未来」
羽生が北京五輪の舞台で残したモノは何だったのか。ライバルのネイサン・チェンは、公式会見で「最高のスケーター」とリスペクトの念を伝え、「4回転アクセルは惜しかった。ユズはこの競技を進化させている」と称えた。 中庭氏は「フィギュア界の未来を切り拓いた」と評価した。 「高難度の4回転時代を切り拓いたのが優勝したチェン選手でした。劇画の世界でしかできないとされた4回転ルッツ、4回転フリップをSPでやってのけて、そして数年後に圧倒的な力を見せつけて金メダリストになりました。最初にやり抜いた人がいるからフィギュア界が変わったのです。そして今回、羽生選手が、有言実行を果たし、4回転アクセルをここまでの形にしました。フィギュア界の未来を切り拓く、大きな価値のある挑戦だったと思います。何年後かには、4回転アクセルに続く選手が出てくるでしょう」 中庭氏は、羽生が切り拓いた未来をより確かなものにするために必要なものがあるという意見を持つ。 「どう考えても4回転アクセルの基礎点は、その難度とは裏腹に低いです。五輪2連覇を果たし、次なる高みを求めた羽生選手でないとできなかった挑戦でした。努力に見合った点数ではなかったんです。今回の羽生選手の挑戦の意義と価値を評価して基礎点を見直す動きがあってもいいのではないでしょうか。次の5回転ジャンプの得点は設定さえされていないのですから4回転アクセルは究極難度のジャンプなんです。あくまでも個人的な意見ですが3回転アクセルと4回転トゥループの基礎点の差が1.50点ですから、その倍以上。現状の12.50点から16点くらいにアップしてもおかしくないと思っています」 4回転ルッツが11.5点で、羽生以外、誰もやったことのない4回転アクセルが12.50ではあまりにも割が合わない。五輪が終わるごとにルール改正が行われるフィギュア界では、現在、演技構成点の見直し案が検討されているようだが、羽生が見せてくれた未来を確かなものにするには、4回転アクセルの基礎点も見直しが必要だろう。 羽生は、何度も「ふー」と息を吐き出しながら、羽生結弦の北京五輪をこう総括した。 「もう一生懸命頑張りました。正直、これ以上ないくらい頑張ったと思います。ふー。報われない努力だったかもしれないですけど、ふー、でも、うん、確かにショートからうまくいかないこともいっぱいありました。むしろ、うまくいかなかったことしかないですけど、今回、一生懸命、頑張りました」 羽生の五輪への挑戦、そして、4回転アクセルへの挑戦が、これが最後になるのかどうかはわからない。だが、その一生懸命は、世界中の人々に感動を与え、そして、フィギュア界へ大きな財産とメッセージを残した。報道によると、会見で、「4回転半への挑戦は続くか?」と問われ「もうちょっと時間ください。ちょっと考えたいです。それくらい、やり切っています」と答えたという。