会費の不正利用が多発、「PTAの金」問題の根本原因 P連でも使途不明金…健全な運営に必要なこと
P連の使途不明金、最初は「領収書なし」の飲食から
続いて、学校のPTAが連なる「PTA連合会」(以下、P連)の使途不明金問題に移る。P連は、加入校PTAからの会費(分担金)に加え自治体からの補助金などもあり、収入が大きいぶん不正が起こるとその額も大きくなる傾向にある。 「P連のお金の不正は、最初は『領収書なしの飲食』などがきっかけになることが多いと思います」というのは、神奈川県横須賀市PTA協議会(以下、横須賀市P協)会長を6年間務め、2024年から同会顧問に就任した桜井聡氏だ。 「PTAは学校の応援団&市P協は単位PTAの応援団」をモットーの1つとして掲げ、健全な会計処理を行うことはもちろん、HP上にPTAの学校への寄付・寄贈などについての横須賀市P協としての見解を掲載するなど、PTA会計についての啓蒙活動を行っている。 P連の場合、組織の性質上、役員は連合会主催の総会や理事会、懇親会、上部団体に加入している場合は上部団体主催の会合に参加する機会が多い。 「それらの会合では、飲食を伴うケースも少なくありません。多くの方は、その席での飲食費は自腹で払ったり、所属するP連のルールに則り領収書をもらって精算したりしています。しかし、地域によっては、役員がP連専用のキャッシュカードを保有していることもあり、領収書を一切もらわず2次会、3次会と使い放題ということもあります。だんだん感覚がおかしくなってくるのか、P連のお金で自らの借金を補填するケースも見聞きしてきました」 「魔がさした」ではすまされないこれらの不正の要因は、「ひとえに監査体制が不十分であること」と、櫻井氏はいう。 「P連の会計は、通常は校長会や教育委員会から監査が入るはずですが、不正を行っているP連は、監査役の校長先生を意図的に外したり、会計監査を形式的にしているケースが見受けられます。年に数万単位の不正であっても、ずさんな会計監査が何年にもわたって続くと、使途不明金として雪だるま式に蓄積され、多大な額にふくれあがってしまうのです。ちなみに横須賀市P協では、会計監査は校長会が担い、年度末に出金伝票と通帳の突合を行っています」