ジェイミー・xxが語る最新作「In Waves」と「サンプリング」、そしてThe xxについて
それから、客演してくれているケルシー・ルー(Kelsey Lu)との関係が形になった曲でもあるんだ。彼女とは仲が良くて、一緒に時間を過ごしていた時期もあったんだけど、この曲は、僕とケルシーが出会った最初の夜について歌っている。アルバムの要所要所に、このような深い繋がりを表現したいと思ったんだ。
――「Dafodil」に関してもう1つ聞きたいのが、ケルシーのほかに、ヴィーガンとの仕事でも知られるジョン・グレイシャー(John Glacier)も参加していて、2人の声にはビットクラッシュのような特徴的なフィルターがかかっています。一方で(アニマル・コレクティヴの)パンダ・ベア(Panda Bear)の声にはボコーダーが使われていて、サンプルも含め、出自やシーンもバラバラな5人の声がカオスに混ざり合っています。このプロダクションにはどのような意図があったのでしょうか?
ジェイミー:もともとこの曲はケルシーだけが参加していたものだった。その後に、たくさんの人に「ロンドンでの楽しい夏の一夜」というテーマで、ヴァースを送ってもらうように頼んだんだ。だから、別のバージョンには30人くらいの人が参加しているものもあるんだよ。こっちのバージョンも、いつか完成させたいと思っている。アルバムのバージョンに起用したヴァースは、特に異質なものを選んだんだ。1つの曲でも、リスナーを壮大な旅に連れて行くことができて、なおかつ一貫性のあるものを作ることができるということを表したかった。
――「Still Summer」のグリッチエフェクトに衝撃を受けました。あれは具体的にどのような処理を施しているのでしょうか?
ジェイミー:あれは、間違いが重なってできたものなんだ。フロー状態に入って作っていたんだけど、特に何も考えずに、適当に、自由に制作をしていた。すべてが上手くいく最高な一日だった。技術的には、比較的シンプルなシンセのコードプログレッションを作っていて、それをリサンプリングして、引き伸ばして、逆再生してみたんだ。最終的にできた音はオーガニックな響きになったと思う。ノートパソコンから音を出しているというよりも、誰かがギターをかき鳴らしている音みたいだよね。