三菱重工・川重・IHI…航空関連に追い風、防衛も拡大で大幅増益予想
三菱重工
総合重工メーカーの航空関連事業が好調だ。航空旅客需要の回復や為替の円安などを追い風に、三菱重工業、川崎重工業、IHIともに大幅な増益を予想する。米ボーイングの品質問題で機体製造は回復途上だが、民間機向けエンジンを中心に需要が増加、政府の防衛費増額に伴う防衛関連の受注も拡大しており、各社とも先行きに期待を寄せる。 【写真】三菱重工の航空エンジン 三菱重工の「航空・防衛・宇宙」セグメントの2024年4―6月期は売上高が前年同期比45%増の2117億円、事業利益が同2・5倍の236億円。事業利益率は同4・8ポイント増の11・2%に高まった。「生産性改善に取り組んでおり、特に民間航空機は生産レートが足元で上がってきている部分があり、そういうところも含めて利益率を持ち上げる要素」(小沢寿人取締役常務執行役員最高財務責任者〈CFO〉)。「エナジー」セグメントに含まれる航空エンジン事業もスペアパーツ、修理・整備(MRO)とも増収増益だった。
川重
川重も航空エンジン事業について「想定を超える売り上げの回復、利益の貢献がある。アフターセールスが堅調に推移している。下期に向けては(計画比で)上振れということも期待している」(山本克也副社長)という。同社の「航空宇宙システム」セグメントの4―6月期は事業損益が48億円の黒字(前年同期は46億円の赤字)に転じた。25年3月期の事業損益の見通しは450億円の黒字(前期は150億円の赤字)を見込んでいる。
IHI
IHIは「航空・宇宙・防衛」セグメントが全社業績を支える構図が明確だ。同セグメントの4―6月期の営業利益は前年同期比2・6倍の238億円。通期でも民間航空エンジンがドライバーとなり、利益をけん引する。福本保明取締役執行役員は「(民間航空エンジンについて)機種別に見ると大型機種のスペアパーツの取扱高は強く出てきている。(リージョナルジェット向けの)CF34のスペアパーツは弱含み。CF34が伸び、大型機種の力強さが継続すればもっと(収益が)上にいくかもしれない」とみる。
政府予算増 防衛分野も期待
航空エンジンについては「単通路機に加え、中大型機でもエンジンのスペアパーツのデマンド(需要)が増え、数量とともに収益も良くなってきている」(大和証券の田井宏介チーフアナリスト)と見る向きがあり、各社とも急な需要拡大にどう対応するかが課題。機体製造事業は米ボーイングの品質問題の影響を引きずるが、「787」向けをはじめ増産基調に入る。防衛関連は政府の防衛費増額により各社は大幅な伸長が予想されており、総じて良好な事業環境が続きそうだ。