【最新】社会保障費用が前年度から減少で過去最少も、医療費は増加へ
2024年7月30日に公表された国立社会保障・人口問題研究所の「令和4年度 社会保障費用統計」によると、2022年度の社会保障費用は、統計開始以来初めての減少となりました。 ◆【一覧表】社会保障費の推移。年々増えており、人口1人当たりの給付額は110万円を超える状況に 社会保障給付が年々増加し、国民負担が増えることが心配されていますが問題は解決したのでしょうか。 本記事では、社会保障費用の現状について解説します。 今後の課題も紹介しますので、国民一人ひとりの生活に大きな影響を与える問題として認識しましょう。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
2022年度の社会保障給付は0.73%の減少
前述の調査では、2022年度の社会保障給付費(ILO基準)は137兆8337億円で調査開始以来初めて減少しました。 前年と比較して0.73%の減少です。 減少した主な要因は、新型コロナウイルス感染症対策関係費の減少です。 ⼦育て世帯等臨時特別⽀援事業費補助⾦や雇⽤調整助成⾦が大幅に減少しました。 社会保障給付費に施設設備費等を含めた社会支出(OECD基準)も減少しています。 2022年度は142兆3215億円で、前年度と比べて0.5%減少しました。
社会保障給付の大半は医療・年金・介護
社会保障給付費の内訳は次の通りです。 ・医療:48兆7511億円 ・年⾦:55兆7908億円 ・福祉その他:33兆2918億円 (福祉その他のうち)介護対策:11兆2912億円 医療と年金、介護対策の費用の合計は116兆円近くに及び、社会保障給付全体の約84%を占めます。
社会保障給付の財源は社会保険料と公費負担
年間140兆円近い社会保障給付の費用を負担するのは、国民の社会保険料(健康保険料や国民・厚生年金保険料など)と国や地方自治体などの公費負担です。 2022年度の負担状況は次の通りです。 ・社会保険料:77兆2894億円(全体の50.5%) ・公費負担:64兆2172億円(42.0%) 公費負担は国民の税金で賄われるため、社会保障給付の費用は国民全員が負担していることになります。 ここまで、2022年度の社会保障給付とその財源について解説しました。 新型コロナウイルス感染症の終息で2022年度は給付が一時的に減少しましたが、安心できる状況ではありません。 次章では、社会保障に関する今後の課題について解説します。