阪神泥沼1勝6敗と横浜DeNA破竹5連勝の差はどこに…矢野監督の”迷走”とラミレス監督の”深慮”
エドワーズ、守屋功輝を登録抹消したため、ブルペンが寂しくなっていたことは事実。阪神ベンチには、小川に「ああいう場面で投げていかなければならないピッチャーだし、抑えられるだけのピッチャーだと思う。開幕(第二戦の巨人戦)の時も悔しい思いをしたと思うが乗り越えて欲しい」という期待感があったが、現時点では、明らかな人選ミスである。小川は、大和、梶谷にもタイムリーを打たれ、この回、5失点、試合を決定づけてしまった。 6点差で迎えた最終回。ラミレス監督は、明日の先発がピープルズで外国人枠の関係で、その試合でベンチに入れないパットンをマウンドに送った。結果、贅沢な起用となったが、1点ビハインドで“期待“だけの新人を使った矢野采配と、盤石のリレーをしたラミレス采配は、対照的なものになった。 実は、ラミレス監督は、昨年4試合で防御率1.88と抑え込まれた西対策にこんな知恵を打撃陣に与えていた。 「西は両サイドにうまく投げ分けてくる。プレートの一塁側を踏み、右打者には外に有効なボールを投げてくる。こういうピッチャーには、センター返しを心がけるよりも、引っ張るか、逆方向を狙うかを決めて対応した方がいい」 5回、均衡を破った宮崎のライトスタンドに飛び込んだソロアーチは、まさに逆方向を狙った一撃だった。ラミレス監督の深慮が生み出した得点と言える。 一方、阪神は、4回無死一塁で、北條にバスターエンドランのサインを出したが、叩きつけようと意識しすぎたのか、打球は最悪のショートフライになった。今永に牽制ミスが出て得点圏に走者を進めることができたが、大山は今永の膝元に食い込んでくるチェンジアップに対して3球続けてタイミングが合わず三振した。阪神ベンチは彼らにどんな意識づけをして打席に送り出していたのだろうか。 これで7試合のチームの平均得点は1.4点である。 今永vs西のエース対決は、最終的にベンチワークが勝敗を分けることになると思っていたが、その差が如実に現れる結果となった。 横浜DeNAにとって阪神は天敵である。6年連続で負け越し、昨年は、8勝16敗1分けで”横浜銀行”と化していた。ラミレス監督は、試合前、「タイガースには毎年、苦しめられているが、今年は違う数字にしたい。阪神戦はチャレンジ。いい一歩目を踏み出したい」と語っていた。昨年のクライマックスシリーズのファーストステージでもラミレス監督の継投ミスもあり“下剋上”を許している。だが、横浜DeNAが誇るITデータ班の協力もあって、守備シフトも含め、万全の準備をして阪神を迎えた結果、好スタートを切ったのである。 試合は、9回二死一塁から代打起用されたボーアのレフトフライで終わった。ボーアはまた自分のスイングをさせてもらえなかった。27個目のアウトを確認すると矢野監督は、すぐさまベンチ裏に引き上げた。 阪神が弱いのか、はたまた破竹の5連勝の横浜DeNAが強いのか。ちなみに阪神の開幕から7試合消化の時点で1勝6敗という最悪の数字は、故・中村勝広氏が指揮を執った1991年以来、29年ぶりで、この年阪神は一度も浮上することなく最下位に沈んでいる。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)