世界最強王者との大晦日決戦 無名挑戦者は「99%勝てない」
WBA、WBO世界スーパーバンタム級統一王者、ギジェルモ・リゴンドー(34歳、キューバ)に東洋太平洋フェザー級王者、天笠尚(29歳、山上)が挑戦する世界タイトル戦が大晦日(31日)に大阪のボディメーカーコロシアム(大阪府立体育会館)で行われることが1日、都内のスポーツクラブNEXTで発表された。 リゴンドーはアマチュア大国、キューバ出身で、シドニー五輪、アテネ五輪でバンタム級を連覇した金メダリスト。09年にアメリカへ亡命しプロ転向してからは14戦無敗(9KO)の中軽量級最強ボクサー。昨年4月には、ノニト・ドネアを3-0の判定で下し王座を統一している。ただ、激しい殴り合いを好まず、天才的なディフェンス技術とスピードを活かした「打たせずに打つ」という慎重なボクシングスタイルが本場ラスベガスでは支持されず、大手プロモーターとの契約が切れ、しかも、その強さゆえに、対戦相手のみつからない状態だった。 本来ならば、大晦日に来日して日本のリングに上がるようなボクサーではないが、その“空白”に目をつけたプロモーターの協栄ジムの金平桂一郎会長が、約50万ドル(約6000万円)のファイトマネーでマッチメイクに成功した。「日本のファンに最高の技術をお見せしたい」というのが、最強王者が、プロモーターに語った来日動機。 この日の記者会見では、リゴンドーのビデオが用意されていて、「覚悟しておけ! 弱いお前をわざわざ日本まで倒しにいってやる」というメッセージが流された。 緊張した表情でビデオを見た天笠は、「99%勝てない相手。だが、格下と思われ油断するならやりやすい。その1%、一発に賭けたい」と本音で語った。これが世界初挑戦だ。 実は、当初、リゴンドーの相手は、東洋太平洋Sバンタム級王者の和気慎吾(27歳、古口)で、交渉が進められていたが、諸処の事情でキャンセル。大晦日の目玉カードを失いかけたTBSが、金平会長の協力であわてて代役挑戦者を探して天笠に白羽の矢が立った。