やっぱり塗装が1番大事?トライアンフに新車のような輝きを|『Octane』UKスタッフの愛車日記
『Octane』UKスタッフによる愛車レポート。今回は、長年の劣化を経た1965年トライアンフ2.5 PIが、修復作業を担当したジェームズ・ゴドフリー=ダンの手を経て、塗装工房「Peacock Prestige」で見事に復活。その詳細に迫る。 【画像】オールペイントによって素晴らしい状態に仕上がった、エリオットのトライアンフ(写真4点) ーーーーー クラシックカーにオールペイントを施す塗装工場は、サッカーでゴールを決める選手のように美味しいところをすべて持っていってしまうように見られることがしばしばあるが、それは非常に不公平な見方である。しかし、ゴールと同様に、塗装が最終的にすべてを左右するのもまた事実だ。 JGDクラシックサービスのジェームズ・ゴドフリー=ダンは、約1年もかけて私のトライアンフを修理し、きちんと走れる状態に仕上げてくれた。一方、彼が仕上げたトライアンフに塗装工房のPeacock Prestigeがペイントを施すのに要した期間はわずか2週間だ。称賛を受けるに値する仕事をしたように見えてしまうのはどちらだろうか…。新たに施された塗装は、ジェームズの11カ月に渡る努力を覆い隠してしまうが、事実としてその仕上がりは素晴らしい。 塗装がこの車に大きな変化をもたらすことは明らかだった。なぜなら、最後に塗装されたのは約35年前であり、以前は鮮やかだったカクタスグリーンはシンクにたまった水のようなくすんだ色に変わってしまっていたからである。黒のルーフは比較的良好な状態を保っていたが、泥棒がガレージから自転車を盗み出す際にトライアンフのルーフの上に乗ったため(!)、足跡がついていた。 さらに、以前の塗装には不一致部分もあった。もし私が全体をスプレー缶で塗り直したとしても、改善されていたと思うほどだ(もっとも、過去にスプレー缶で部分的に塗り直した箇所は、明らかに“改善”にはならなかったが)。なんにせよここ数年、「ラットロッド」な状態を褒めてもらうのには少し飽きてしまった。 JGDクラシックサービスが私の車を引き受けてから、ジェームズはPeacock Prestige以外の塗装業者を選択肢として考えたことはなかった。彼は以前JLRクラシックで働いていた時からずっと彼らに任せ続けていた。実際、私も彼らの仕事には非常に感銘を受けていた。私はてっきり700ポンド(約13万円)の「塗装作業」は地元の安いっぽい広告に掲載されているような、自宅の前で行われる程度の簡易的ものだと思っていた。ところが、コヴェントリー・シティのサッカースタジアムの近くにあるPeacockの設備を訪れて驚いた。そこには最新の設備が整った3つの塗装ブースがあり、清潔な環境でジャガーをはじめとした多くの高級車が塗装されていたのだ。 到着すると、共同経営者であるパルディープ・コアシャが出迎えてくれた(写真にほとんど見えないが、彼のTVRも置いてある)。ポール・マホンのチームが作業している姿を見て、彼らのプロフェッショナリズムに感動した。塗装作業はほぼ完了しており、ブースには私の車のトランクリッドと給油口のフラップだけが残っていたが、その仕上がりは素晴らしかった。 スプレー作業を行ったポール・ジェンダーズは、4層の塗装を15分おきに丁寧に施し、1990年代初期のカクタスグリーンと見事にマッチさせた。そして、屋根には新しい光沢のある黒が加わり、それが車全体を生き生きとさせている。Peacock Prestigeは素晴らしい仕事をしてくれた。 ジェームズに説得されてエンジンルームも一緒に塗装することにしたのは間違いなく正解だったが、どうせなら内装とトランクも追加すればよかった。まあ、誰も見ることはないが。 この記事がリリースされる頃には、トライアンフはジェームズの元に戻り、エンジンやクラッチ、フライホイールの調整、新しいシールの取り付けが行われ、そしておそらく大きなブレーキサーボや実用的なヒーターも装備されているだろう。 これ以上の作業はないはずなので、大胆な予測にはなるが、次に私がトライアンフについて書くときには、車が完全に完成したときだろう。 文:James Elliott
Octane Japan 編集部