【闘病】しびれや目の違和感は「多発性硬化症」だった『サーフィンが心の支え』
大好きなサーフィンが心の支えになっていた
編集部: 病気が判明したときの心境について教えてください。 川尻さん: 多発性硬化症という難病に負けず、みんなに頑張っている姿を見せてやろうと思いました。「難病であってもこれだけサーフィンが出来るんだ」と頑張っている姿を見せることで、みんなに勇気を与えられたら嬉しいです。 編集部: 発症後、生活にどのような変化がありましたか? 川尻さん: 記憶に多少の障害があるため、道に迷ってしまって疲れることがあります。そんな日が続くと体力的につらいと感じるときもあります。そのほか、高次脳機能障害の影響から仕事場でのミスが増えてしまいました。仕事内容を忘れないためにメモを必ずとるように気をつけています。それでも失敗してしまった場合は、必要以上に気にしすぎないように意識しています。 編集部: 治療中の心の支えはなんでしたか? 川尻さん: 「またサーフィンをやりたい」と思う気持ちが支えになっていました。僕の中で波乗りが頭から離れることはなかったですね。波乗りを知らない人からしたら、ただの遊びに感じると思いますが、僕にとってサーフィンは人生そのものですから。
今できることを精一杯取り組みながら今後の医学の進歩を期待する
編集部: もし昔の自分に声をかけられたら、どんな助言をしますか? 川尻さん: 「必ずメモをとろう。この先何があるか分からないよ」と強く助言します。 編集部: 現在の体調や生活などの様子について教えてください。 川尻さん: 現在は左手左足に脱力感のような症状があり、サーフィンでは立った状態での波乗りが難しくなってきました。そのため座った状態で波に乗れるニーボードというものに取り組んでいます。 編集部: 日々の生活で意識していることはありますか? 川尻さん: 自分の病気は、車いすや寝たきりの状態になる可能性もあるようなので、今できることをやろうと思っています。また、ストレスが症状の再発につながることもあるそうなので、なるべくストレスを溜めないように意識しています。完全にストレスを無くすのは難しいかもしれませんが、ストレス発散のための運動や筋トレを無理のない範囲で取り入れています。 編集部: あなたの病気を意識していない人に一言お願いします。 川尻さん: 見た目からは分からないと思いますが、僕の患っている病気はわりと面倒なものです。症状がなかった時の僕と、現在は違う僕であることを理解してもらえると嬉しいです。 編集部: 医療従事者に望むことはありますか? 川尻さん: 多発性硬化症に関する治療は、これからも新しいものがどんどん出てくると聞きました。医療の発達によって、この病気が完治可能な病になることを切実に望んでいます。そして、その日が少しでも早く来ることを願っています。 編集部: 最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。 川尻さん: 僕は自分自身がこの病気になるまで多発性硬化症の存在を知りませんでした。世の中には、みんなが知らないような病気で悩む人がたくさんいることを知ってもらいたいです。