元裁判官が教える「信頼できる弁護士」の見極め方
1万件超の事案を手がけた元裁判官にして民事訴訟法の権威でもある、瀬木比呂志さん。『我が身を守る法律知識』は、誰にとっても身近な法律トラブル、例えば相続、離婚と子ども、交通事故、自宅の新築や購入、痴漢冤罪、医療などに備えるための知識をわかりやすく伝えている。 【写真】なんと現代日本人の「法リテラシー」は江戸時代の庶民よりも低かった? いざトラブル解決に向けて最初のステップを踏み出すとき、ぜひ知っておくべきことをご紹介しよう。 弁護士はどう選べばよいのか?民事訴訟以外の紛争解決方法はどんなものがあるのか?弁護士に頼まず自分で訴訟できるのか? これらを知っておけば、スムーズなトラブル解決が望めるだろう。 【本記事は『我が身を守る法律知識』の「第9章 紛争が起こってしまったら 弁護士の選び方、とりうる方法等」を抜粋・編集したものです。】
まずは法律相談で弁護士を見極める
紛争が起こってしまった場合にどうすればよいかについても、その要点だけ記しておきましょう。 法的紛争が生じた場合にまず行うべきことは、法律相談です。 これについては、各地の弁護士会が行っているもの、総合法律支援法に基づき設立された公法人である法テラス(日本司法支援センター)で弁護士・司法書士が行っているものが、比較的利用しやすいかと思います。 相対的に狭い専門分野に関する相談の場合には、前者で事前にその旨を告げて予約する、インターネットでポータルサイトなどを検索し、適切な弁護士を探して相談するなどの方法が考えられます。こうした法律相談によって、その後にとりうる方法についても、およそのめどがつくでしょう。 また、どのような方法で弁護士を探す場合にも、委任の前にまずはその弁護士自身による法律相談ないし最初の面接の段階があります。これは、もちろん有料の場合も多いですが、相談だけなら極端に高いものではないのが普通です。心配なら事前に確認しておくといいでしょう。 相談の際に念頭に置くべき事柄は、(1)相談の内容についての弁護士の説明を正確かつ客観的に理解すること、(2)委任するかどうかを決める前提として、その弁護士の資質、能力、性格をよく見極めること、(3)相談に当たっては、訴訟になる場合に書証として提出すべき各種の書類を整理した上で持参し、紛争の経緯をできる限り客観的に説明すること、(4)ことに、自分にとって都合の悪い事情や証拠を隠さないこと、です。 (2)については、法的な事柄にうとい人ほど、大言壮語型、「口だけはうまい」型の弁護士(割合はそれほど多くはないのですが)に引っかかりやすいことに注意しておくべきでしょう。 理性的で説明のていねい、正確な人、あなたのほうの問題点をも婉曲にではあっても指摘してくれる人、そして、「交渉や訴訟の経過についてはわかりやすく説明します」と言ってくれる人は、信頼できる場合が多いでしょう。 より深いところで自然な温かみを感じさせる人なら、さらにいいといえます。