「特殊な」45分一本勝負 雷雨中止のJ1、再開試合は引き分け
◇サッカーJ1 △浦和1―1川崎△(22日・埼玉スタジアム、再開試合) 一見すると普段と変わらない、選手入場に記念撮影。しかし大型ビジョンの時計は「45分」から時を刻み始め、主審の試合開始の笛直後にもかかわらず、スコアは浦和レッズ1―0川崎フロンターレと表示された。何かがいつもと違う――。 発端は猛暑のさなかの8月24日だった。午後7時開始、大粒の雨が落ち遠くで雷が響く一戦は、前半20分過ぎに渡辺凌磨選手のゴールで浦和が先制した。満足にドリブルすらできないほど足元は悪化し、1―0のままハーフタイムに入ったが、天候回復の見込みが立たずそのまま中止に。約3カ月後の11月22日、スコアやメンバーを原則的には引き継ぎ、後半開始から再開試合を行うことが決まった。 J1の試合途中の中止は2009年9月12日の鹿島―川崎戦以来、15年ぶり。これだけで十分に異例だが、浦和側にはさらなる事態が待っていた。8月24日時点でチームを率いたペアマティアス・ヘグモ前監督が直後に解任され、マチェイ・スコルジャ監督が復帰。同じ試合にもかかわらず前半と後半で異なる監督が指揮を執ることになった。 互いに心身をリフレッシュして迎えた22日の後半45分、一本勝負。川崎が再開直後から攻勢を強めて、早々に小林悠選手のヘディングで同点。その後は互いに好機を決めきれず、1―1で試合を終えた。 「私の人生でも初めて。特殊な状況」と語ったスコルジャ監督は「非常に残念な試合。敗戦のようなもの」と受けに回った展開を悔いた。一方の川崎の鬼木達監督は「誰も想像がつかないゲームで選手がしっかり戦ってくれた」と評価した。両チームともペース配分を度外視した密度の濃い45分の経験を、次への貴重な財産とする。【角田直哉】