イオンのデジタル人材育成プログラム どこでも通用するスキルを身につけるには
課題はグループのデジタルリテラシー向上
――デジタル人材育成に関して、今後取り組みたい課題はありますか。 専門性を身につけるためのカリキュラムを作ることはできたので、これを随時アップデートしながら専門人材の育成に取り組んでいきます。それとは別に、グループ社員全体のデジタルリテラシーの向上にも取り組んでいく必要があると感じています。 今の10代、20代はデジタルネイティブ世代なので、若手層やこれから新卒入社する世代は、リテラシーについてはあまり心配していません。むしろ40代、50代の方々のデジタルリテラシーを引き上げるのが課題です。学びたい社員には、わかりやすい基準としてITパスポート資格を提案し、自主的な学習を支援しています。 リテラシーは会社からプログラムを提供して学ばせるというより、「今後はこれが世の中の標準になっていくんだ」という実態を説いていくことで社員の意識を高める方が効果的だと考えています。例えば、すでに高校では情報が必修科目となっており、2025年度の大学入学共通テストの科目に「情報I」が追加されます。今後はそうした基礎知識をすでに持った人材が入社するのです。 デジタルコースの講座でこの話をするのですが、「お子さんがいる方は、お子さんの『情報』の教科書を見てみてください」と言うと、はっとする社員が多いですね。ニュースなどで見て認知はしていても実感が得られていない社員が多いので、いかに実感を持ってもらうかが重要だと考えています。今後は専門人材の育成に取り組みつつ、グループ全体のリテラシーの底上げにつながるような啓発活動にも取り組んでいきたいですね。
プロフィール
青野 真也さん(イオン株式会社 人材育成部 デジタル人材開発グループ リーダー) あおの・しんや/新卒でイオングループ ミニストップへ入社。2011年に「グループ公募制度」でデジタル事業に出向し、2022年よりイオン株式会社へ異動。デジタル部門と人事部門と密に連携し、グループ戦略を遂行するために必要なデジタル人材の育成、長期的に活躍できる体制を創出するための施策を実行している。