【そば】八割、十割…何が違う 意外と知らない“割合” 実はダイエットにも効果的だった
大みそかに年越しそばを食べる人は多いと思いますが、そばに含まれる栄養素が気になったことはありませんか。実際にそばにはどのような栄養素が含まれているのでしょうか。そばを食べると、どのようなメリットがあるのでしょうか。八割そばと十割そばの違いも含め、あさひの森内科消化器クリニック(愛知県尾張旭市)に所属する管理栄養士の若山あみさんに聞きました。 【要注意】「えっ…!」これが「血糖値」が上がりやすい食べ物&飲み物です(10枚)
良質なたんぱく質を含む
Q.そもそも、そばにはどのような栄養素が含まれているのでしょうか。 若山さん「そばには、炭水化物やたんぱく質、食物繊維、ビタミンB群、ルチンなどの栄養素がバランスよく含まれています。それぞれの栄養素について、詳しく説明します」 (1)炭水化物 そばには、エネルギー源となる「炭水化物」が多く含まれています。エネルギー補給が必要なときや、長時間の活動前に摂取するのに適しています。 (2)たんぱく質 穀類の中では、米や小麦よりも100グラム当たりのたんぱく質の割合が多いです。また、そばに含まれるたんぱく質には、体内で合成できず、食べ物でなければ摂取できない「必須アミノ酸」がバランスよく含まれているため、たんぱく質の質が高く、体の成長や修復、免疫機能の維持に役立ちます。 (3)食物繊維 そばは食物繊維が豊富で、腸内環境を整え、便秘の予防や改善に役立ちます。また、食後の血糖値の上昇を緩やかにする効果もあるため、糖尿病の予防にもつながります。 (4)ビタミンB群 ビタミンB1やビタミンB2、ナイアシンなどのビタミンB群が豊富で、エネルギーの代謝をサポートし、疲労回復やストレスの軽減に効果的です。 (5)ルチン そばには、そば特有のポリフェノールである「ルチン」が含まれています。ルチンには強い抗酸化作用があり、血管の健康を保ち、動脈硬化の予防に役立ちます。また、ビタミンCの吸収を助ける働きがあります。 そばはまさに、健康を維持するために必要な栄養素のかたまりともいえる食材です。 Q.スーパーや百貨店などでは「八割そば」「十割そば」が売られていますが、どのような違いがあるのでしょうか。 若山さん「そばには八割そばや十割そばなどいくつか種類がありますが、そば粉の配合に違いがあります。八割そばとはそば粉8割、小麦粉2割で作られたそば、十割そばとは100%そば粉でできたそばのことをそれぞれ指します。 風味や食感に違いがありますが、より効果的にそばの栄養を摂取したい場合は、十割そばを選ぶのがお勧めです。ただ、スーパーなどで売られているそばは小麦粉をつなぎにしたものが主流なので、購入するときは原材料の表示をチェックしてみてください」 Q.そばを食べると、どのようなメリットがあるのでしょうか。ネット上で「そばはダイエットに向いている」という情報がありますが、本当なのでしょうか。 若山さん「そばがダイエット向きの食品であるのは本当です。そばを食べるメリットは、まず血糖値の急上昇を抑えることができることです。そばは食パンやうどん、ラーメン、パスタなどの小麦製品、米よりも『グリセミック指数(GI値)』が低い食品です。 GI値とは、糖質50グラムを含む食品を摂取した際の血糖値の上昇度合を表した値です。GI値が低いと糖や脂肪の吸収が緩やかになり、血糖値をコントロールすることができます。血糖値の急激な上昇を抑えることでインスリンの過剰分泌を防ぎ、太りにくい体づくりが可能です。肥満予防や糖尿病の管理に向いている食品といえるでしょう。 2つ目のメリットは、主食の中では高たんぱく質でありながら、低糖質、低脂質で、食事のバランスを整えやすいことです。そば粉は植物性たんぱく質を多く含み、脂質が少ないため、摂取エネルギー量を比較的簡単に抑えることができます。ゆでたそばは100グラム当たり約130キロカロリーです。食べ過ぎないよう注意したり、つけだれやトッピングを工夫したりすることで、ヘルシーな食事になり、ダイエットにはピッタリです。 3つ目のメリットは食物繊維が豊富で、腸内環境を整えることができることです。食物繊維には、水に溶けやすい『水溶性食物繊維』と、水に溶けにくい『不溶性食物繊維』がありますが、そばには不溶性食物繊維が多く含まれています。 不溶性食物繊維は腸の蠕動(ぜんどう)運動を促進し、排便を促すため便秘の予防、改善に効果があります。また、老廃物の排出を助け、デトックス効果も期待できます。さらには、満腹感を得られやすく、食べ過ぎ防止にもつながります」