円安進行阻もうとする日本の闘いは前途多難-為替トレーダー警告
(ブルームバーグ): 経済的諸力によって一段の円安がもたらされる可能性が高いことを踏まえると、円相場押し上げには何度も行動する必要があるだろうと、為替トレーダーは日本政府に警告している。
日本が祝日だった29日のアジア時間帯に円相場は突然、急騰した。この動きは、日本の通貨当局が円安への忍耐を切らし、円買い支えの警告を実行に移したとの観測を呼んだ。
円は今年、ドルに対し約10%下落しており、G10通貨の間で最大の下落率だ。29日には一時1ドル=160円17銭と34年ぶりの安値を更新。その直後に急伸した。
「160円」と一斉に叫ぶ声、円乱高下に慌てるトレーダー-祝日も台無し
トレーダーやストラテジストによれば、岸田文雄政権にとって問題は、介入した場合にそれを継続する必要性だ。米金融当局が今週、政策金利をより長くより高く維持する方針を強調してドルの魅力を高めると市場が身構えているだけになおさらだ。
ノムラ・インターナショナルの通貨ストラテジスト、宮入祐輔氏は、マクロ経済状況に変化がない限り、160円台への再突入はかなり視野に入っていると指摘。為替に関し市場は財務省との闘いをさほど恐れていないことが29日の円取引から読み取れると述べた。
シティグループのアナリストは、4月30日-5月1日に米連邦公開市場委員会(FOMC)会合が開かれ、米景気軟化の有無を測る主要経済指標を市場が注視する中で、円相場は155-160円のレンジで推移すると予測している。
円相場は4カ月連続の下落となる方向だ。先週、日本銀行が予想通り政策金利を0-0.1%に据え置き、国債買い入れの縮小を示唆しなかったことから、トレーダーは新たな円売り材料を見いだした。一方、米国では金融当局が10-12月(第4四半期)まで政策金利を日本より約5ポイント高い水準に維持すると予想されている。
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