「新NISAを今すぐ解約して二度と手を出すな」という森永卓郎さんが唯一持ち続ける"例外銘柄"の種類
■今後とてつもない円高が待ち受けている理由 IMF(国際通貨基金)が2024年の世界経済見通しのなかで明らかにした円ドル為替の購買力平価は91円だ。 つまり、今後、とてつもない円高が待ち受けていることになるのだ。 だから、私は最近、「日経平均株価は3000円まで下落する可能性が高い」という警告をずっと続けてきた。 だが、誰も聞く耳を持ってくれない。40年前にバブル到来を警告したのに誰も聞いてくれなかったのと同じ状況がいま起きている。 実は、私が40年以上ずっと追いかけてきた研究テーマは、「人はなぜ狂うのか」ということだ。バブル期には陶酔的熱狂(ユーフォリア)と呼ばれる状態に多くの人が陥る。 1630年代のオランダでは、チューリップの球根一つに数千万円の価格がついた。それでも、誰もおかしいと思わない。 いまも、例えばエヌビディアという半導体メーカー1社の時価総額が、日本のGDPと肩を並べるようになっても、誰もおかしいと思わない。 東京23区の新築マンションの平均分譲価格が1億円を超えても、誰もおかしいと思わない。しかし、その過剰な評価は、ある日突然、音を立てて崩れていく。 しかも、そのときは、株価や不動産価格だけでなく、暗号資産や穀物や原油など、投資が可能な資産の価格は、軒並み下落していく。 値下がりしないのは、現金と借金だけだ。 ■最優先の生前整理は、新NISAの解約と投資からの撤退 だから、新NISAの口座はいますぐ解約して、二度と投資に手を出してはならない。 それが、老後生活を守るカギであり、最も重要な生前整理になるのだ。 ただ、株は買うより売るほうが100倍難しい。 特に上げ相場の時はどんどん値段が上がっていくので、保持してしまいがちだ。私自身も過去最高値の更新が続く中、決断が鈍っていた。 結局のところ、私は2024年7月12日に株主優待がどうしても必要な株を除いて、すべての株や外貨資産を売却した。 なぜ優待のある株を残したのかと言うと、たとえば玩具メーカーであるタカラトミーの株を持っていると、年に一度、オリジナルの「トミカ」と「リカちゃん」が送られてくる。それをB宝館に展示しているので、どうしても必要なのだ。 ---------- 森永 卓郎(もりなが・たくろう) 経済アナリスト、獨協大学経済学部教授 1957年生まれ。東京大学経済学部経済学科卒業。専門は労働経済学と計量経済学。著書に『年収300万円時代を生き抜く経済学』『グリコのおもちゃ図鑑』『グローバル資本主義の終わりとガンディーの経済学』『なぜ日本経済は後手に回るのか』などがある。 ----------
経済アナリスト、獨協大学経済学部教授 森永 卓郎