ラ・リーガ開幕戦で実現した久保建英と岡崎慎司の歴史的競演はドロー…2人はどんなプレーで競ったのか?
ラ・リーガ1部で紡がれてきた日本人選手の歴史に、新たな1ページが刻まれた。ビジャレアルのホーム、エスタディオ・デ・ラ・セラミカへ昇格組のウエスカが乗り込み、日本時間14日未明に行われた2020-21シーズンの開幕戦。記念すべき瞬間は1-1で迎えた後半32分に訪れた。 勝ち越しを狙ったビジャレアルのウナイ・エメリ監督が、最初の交代で3枚のカードを同時に切る。FWパコ・アルカセルとの交代で新天地のピッチに立ったMF久保建英と、ウエスカの1トップとして先発していた岡崎慎司が、日本人選手として初めてラ・リーガ1部のピッチで競演した。 持ち味を存分に発揮したのはラ・リーガ2部で優勝した昨シーズンからウエスカに在籍し、チーム最多となる12ゴールをゲットした岡崎だった。34歳にしてラ・リーガ1部の舞台でデビューを果たした元日本代表FWは、前半42分にあげた先制点の起点になった。 ハーフウェイラインよりも手前の自陣に引いて味方からのパスを受けると、ビジャレアルの選手2人に囲まれながら巧みにターン。左サイドにパスをはたき、そこから味方が右サイドへ展開していく間に長い距離をスプリントし、ペナルティーエリア内へと侵入していく。 右サイドをドリブルで攻め上がってきた右サイドバックのパブロ・マフェオに対して、ビジャレアルの守備陣は岡崎やMFラファ・ミルへのクロスを警戒していた。ゆえにペナルティーエリア手前で切り返し、左足でシュートを放ったマフェオの動きに対応できない。劣勢が予想され、実際に序盤から攻め込まれていたアウェイのウエスカが先制する、予想外の展開とともに前半を折り返した。
後半9分には岡崎が代名詞とも言えるプレーで魅せる。左サイドを抜け出したMFダビド・フェレイロが放った低く、速いクロスに対してニアサイドで反応。身体を思い切り投げ出し、さらに首を伸ばしてダイビングヘッドを見舞ったものの、シュートはゴールの左へ外れた。 5人の交代枠がすべて使われたなかで先発フル出場を果たした岡崎とは対照的に、レアル・マドリードから期限付き移籍した久保はベンチスタートとなった。プレシーズンでは右サイド、トップ下、左サイドと中盤の攻撃的なポジションすべてで適性を試された19歳は戦況を見守り、後半からはウォーミングアップを繰り返しながら、エメリ監督から名前をコールされる瞬間を待った。 右サイドは縦への爆発的なスピードを誇る、ナイジェリア代表のサムエル・チュクウェゼ。トップ下は昨シーズンにチーム最多、リーグ全体でも3位に入る18ゴールをあげたスペイン代表のジェラール・モレノ。そして左サイドにはビジャレアルの下部組織出身のモイ・ゴメス。今年1月に加入しているパコを含めて、連携面ではこの4人の組み合わせに一日の長があると判断されたのだろう。 VARを介してマフェオのハンドが宣告され、モレノのPKで同点に追いついたのが後半23分。ビジャレアルが攻勢を強めるなかで投入された久保はトップ下に入り、モレノが一列上がった。 そして、6分が表示された後半アディショナルタイムの47分に、右タッチライン際で自らファウルを獲得したチャンスで直接フリーキックを託された。しかし、利き足の左足からインスイングで放たれたクロスは相手ゴールキーパーの正面をつき、難なくキャッチされてしまった。