中日と広島は最下位争いから抜け出すことができるのか?
前進守備は勝負手としては間違いではなかった。ただ二塁に代走の熊谷を送られ、コリジョン採用の現状では、よほどのラッキーな打球でなければ本塁で殺すことは難しく、引っ張り専門の北條の打球傾向と2-0というバッティングカウントを考えると、カウントを見てレフトの守備位置だけを下げるのは「あり」だっただろう。本来なら、そういう戦略は、ベンチでヘッドコーチや外野守備コーチとのコミュニケーションの中で流動的に動くものだが、中日では残念ながらそこが機能していない。 里崎氏は立て直しが急務の両チームは悠長に構えていられないという。 「ゲーム差“3”を縮めるのに1か月は必要とされています。今年はクライマックスシリーズがなく、120試合しかないわけですから、8月10日くらいまでにはチームを整備しなければ間に合いません。8月が終わった時点で、首位と10ゲーム差以上なら3位、百歩譲って10ゲーム差以内なら4位につけておかなければ優勝は厳しいでしょう。1、2位チームの10ゲーム差は縮めることができますが、1位と下位チームの10ゲーム差は、なかなかひっくり返せません。間にチームがあるとどこかと縮まっても、どこかと広がるわけで、借金を返しても、他力が必要になります」 里崎氏が考えるデッドラインは8月10日。40試合から50試合の間で再整備を終える必要がある。ちなみに現在、中日と巨人のゲーム差は9である。 では、その決め手は? 「今は将棋で言えば飛車角金がない状態でプロ棋士と戦っている状況です。監督、コーチがやれることは駒を並べるだけ。シーズンが始まると“鍛える“ことは難しいのでやはり選手の頑張りなんです。歩を金に変えるのも個の力なんです。広島と中日のどちらが先に下位を抜け出すかは、もう好みの世界です」 これが里崎氏の結論。 注目の両チームは今日から直接対決。中日が連勝すれば最下位が入れ替わる。広島は九里、中日は福谷を異例の先発抜擢している。