【阪神】佐藤蓮、飛躍のキッカケとなったジムに潜入 やり投げ実績持つ師匠のもとでフォーム激変
<潜入> 飛躍のキッカケはここにあり! 阪神佐藤蓮投手(26)が通う京都市内のトレーニングジム「Y-TRAINING」での自主トレに潜入した。指導者は陸上やり投げで世界選手権銅メダルの実績を持つ村上幸史氏(44)。昨年11月から通い始め、今オフも同ジムを中心に練習する予定だ。今季は支配下復帰、1軍デビューを達成。成果につながった1年間を深掘りした。【取材・構成=波部俊之介】 ◇ ◇ ◇ 佐藤蓮が投じる1球1球に、絶賛の声が飛び交った。「今のヤバいね!」。村上氏が指導する「Y-TRAINING」に昨年11月から通い始めた。今季は7月に支配下復帰、9月は1軍デビューを果たした。陸上やり投げで実績を持つ師匠の指導は、確実に飛躍のキッカケとなった。 「通い始めた時はもう後がないと思っていたから、結構必死だった。いろんなところに自分から動かないと。自分1人で考えてやってもダメだったから」 20年ドラフト3位入団も結果を残せず、22年オフに育成契約を締結。焦りもあった当時、YouTubeを通して村上氏と出会った。やり投げ選手ながら独自の理論を語り、キャッチボールや投球練習などを行う動画。目からうろこの話ばかりだった。 「今の自分が『欲しい、足りないのはここだ』みたいな内容。自分に言っているような感覚だった。言っていることも、自分が悩んでいたところと一緒だった。この人に話を聞いてみたいと思いました」 すぐにSNSのメッセージ機能を用いて村上氏に連絡。2、3日後にはジムで秘密の特訓を始めた。野球選手だけでなく、ゴルファーなどさまざまな競技の選手も通う同ジム。やり投げの投げる動作に限らず、陸上競技で培われた体への知識はあらゆる競技に応用できるという考えがベースにある。実際にはネットスローなどを通してフォーム指導を受けている。 この日はグラブを引き込むようなフォームの癖を改善。スッとグラブから両手を離す意識などを教え込まれ、ネットスローで調整。次第にトップの位置や右足の蹴り出しなどに変化が生まれ、気づけばフォームは大きく変わっていた。 「結構フォーム的にはガラッと変わって、見え方的にも全然違う。それってシーズン中にはできないですね」 シーズン中に通えるのは月に1回程度。試合が続いている最中でもあり、大きなフォーム変更は難しかった。一方でオフは週1日ペースで通い、自主トレも同ジムを中心に行う予定。オフの目標は平均150キロ中盤を投げられるスピードと、制球の安定だ。 「平均的に150キロを投げる中継ぎはいる。150中盤、後半はなかなかいないので。制球面もストライクゾーンを半分に割って、右、左をまずは投げ分けられるように」 来季の1軍定着に向け、信じた道を突き進む。 ◆村上幸史(むらかみ・ゆきふみ)1979年(昭54)12月23日、愛媛県上島町生まれ。生名中-今治明徳高-日大-日大大学院-スズキ浜松AC。09年世界選手権では82メートル97で銅メダル。五輪には04年アテネから3大会連続で出場し、12年ロンドン大会では日本選手団主将。21年に現役引退を表明した。自己ベストは85メートル96。現在は株式会社「Y-TRAINING」の執行役員・本部長。