月額5万円の養育費を支払っていたが…元妻とのあいだの子と面会交流して発覚した「衝撃事実」【弁護士が解説】
養育費の減額を考える前に…知っておきたい3つのポイント
養育費の減額を考える際は、まず養育費相場の算出、権利者(養育費を請求する権利のある親)が再婚した場合、義務者(養育費を支払う親)が再婚した場合をポイントとして確認しましょう。 養育費相場上の金額の算出 養育費の金額は、家庭裁判所が公表した養育費算定表にもとづいて決めることが一般的です。算定表は裁判所のサイトで公開されており、算定表を基にした養育費計算ツールもあります。 しかし、この養育費算定表は、離婚時において一方の親が子どもを全員扶養しているケースを前提としています。そのため、再婚した場合において、再婚相手やその子どもを扶養しているという状態は想定されていません。したがって、再婚した場合の相場上の養育費の算出にあたっては、算定表の基礎になっている「標準算定方式」に立ち戻って計算する必要があります。一人で悩まずに、まずは法律の専門知識を持つ弁護士にご相談いただくことをおすすめします。
再婚後の養育費、いつまで支払うのか?
養育費を受け取るべき権利者が再婚しても、養育費の支払期間は変わりません。再婚相手と子どもが養子縁組しない限りは、取り決めたとおりに支払い続ける必要があります。 たとえば、「大学卒業時まで」と定めていたら、相手が再婚しても子どもが大学を卒業するまで支払続けなければ、義務違反となってしまいます。養育費の期間を短くすべき事情がある場合、減額交渉をする際に、併せて期間の変更についても話し合って取り決めましょう。
再婚が理由の減額申し立て事例
再婚を理由とした養育費減額の申し立て事例には、次のものなどが存在します。 妻の再婚による養育費支払い義務の免除 夫であるAさんは離婚の際、妻とのあいだで養育費として月額5万円を支払う約束をしました。ところがその後、子どもとの面会交流の際に子どもから「お母さんが結婚して新しいお父さんができた」と聞きました。そこで元妻へ状況を確認したところ、実際に再婚した事実が発覚しました。 Aさんは「それなら養育費を支払う必要はないのでは?」と考えて弁護士へ相談。再婚相手と子どもが養子縁組していれば支払義務がなくなると聞き、元妻へ状況を確認したところ、養子縁組している事実が確認されました。そこで合意により、養育費支払義務を免除してもらい、以降は支払いをしていません。 自身の再婚による養育費減額の請求 夫であるBさんは離婚の際に子ども2人の親権者を妻とし、月額の養育費は10万円と取り決めました。その後、知り合った女性と再婚し、子どもが生まれました。そこで、養育費を減額できるのか、弁護士へ相談しました。 「再婚して子どもができたら、おそらくは養育費を減額できる」との回答を得たため、収入などを標準算定表式に当てはめて計算したところ、養育費は月額6万円が相当であることが明らかになりました。元妻と話し合い、養育費を月額6万円に減額できた事例です。