【児童ポルノと同じものを感じた】教え子7人に性的暴行の20代元保育士にくだった「判決の中身」
「敷かれたレール」が嫌に
「主文 被告人を懲役14年の刑に処する」 ’24年11月14日、東京地裁で室橋秀紀裁判長が判決を言い渡すのを、長田凪巧(おさだ・なぐみ)被告(27)は身じろぎもせず、背筋を伸ばして聞いていた。 【写真】テーマパークでスナック片手に…園児7人に性的暴行の保育士に下った「判決」 長田被告は’21年9月下旬ころから’23年12月までの約2年3ヵ月の間に、勤務していた2ヵ所の保育園で合計7人の園児(起訴された順番にA~Gちゃん)に性的暴行を加え、さらに3名の園児に対してその姿態を撮影したとして、不同意性交等や児童ポルノ禁止法違反など5つの罪に問われていた。 「長田被告は’17年から保育士として働き始め、’22年から(当時)父親が園長を務める保育園に勤務するようになりました。また、長田被告の親族には保育士が多く、父親とは別の保育園を経営する親族もいるなど、検察官は『いわば、保育士一家』と述べていました。長田被告も父親の保育園を継ぐことになっていて、自身が保育士になった理由を『敷かれたレールに乗った』と表現していました」(全国紙社会部記者) 「物心がついたころから、将来は保育士になることしか頭になかった」と明かしている長田被告だが、その一方で高校生時代から児童ポルノ画像や動画を集め始めていた。 「未就学児から高校生くらいまでの年代の児童ポルノを集めていました。パソコンから600件近い児童ポルノ、iPhoneのデータからは2000枚近くの画像と400件近い動画が押収されています。なかでも好んで見ていたものは未就学児のものだったことが警察の取り調べで明らかになっています。 ただ、長田被告自身は『自分が小児性愛者だと気づいたのは逮捕されたからです。私の記憶の中では好んでよく見ていたのは中学生くらいの女の子でした。なので小児性愛者だという自覚はありませんでした』と法廷で述べていました。自分の性的嗜好に気づいていなかったので、保育士になることを危険だとは考えなかったと主張したのです」(前出・社会部記者) ◆犯行のきっかけを独白 長田被告が「児童ポルノの映像と同じことをしてみたい」と思うようになったのは保育士になって5年目のことだった。“昼寝の時間、寝ているGちゃんの寝相が児童ポルノの映像と重なった”ことがきっかけだったという。 目の前の園児に初めて性的な欲求を覚えた時のことを、法廷でこう語っている。 「もともと児童ポルノ動画を集めてはいましたが、どこか遠い世界のものというイメージで見ていました。それが、目の前の園児に、児童ポルノ動画と同じものを感じたのです。それは私にとって、ものすごく衝撃的なことでした」 その後も、「これ以上、被害者を増やしてはいけないと思いながらも、心と身体が真反対を向いていて、自分のコントロールを失っていました」と犯行を重ねることとなった。 また、自らの犯行を止められなかった理由に、「保育士一族」としてのプレッシャーもあったと述べている。 「いよいよ世代交代が秒読み段階に入っているなか、保育園を継ぐというプレッシャーをずっと感じていました。誰かに相談することも、病院に行くこともできず、どうしようもない状態で仕事を続けていました」 ◆罪悪感を抱かせる手口 自身の父親が園長を務めていた保育園に務めるようになってからは、担任としてクラスを持っていなかったため、一人で昼寝の見守りをしている時に、起きていた園児を注意するという理由で押し入れに連れて行き、そこで目隠しをして犯行に及んでいた。 また注意することで、「起きていた自分が悪い」と園児に思わせるようにすると同時に、「誰にも言っちゃダメだよ」と口止めすることも忘れなかった。 結果、Cちゃんの証言で犯行が発覚するまで、7人の園児が性被害に遭ってしまった。 判決言い渡しの当日、長田被告は、黒のスウェットの上下に坊主頭で法廷に姿を現した。 室橋裁判長は判決を言い渡し、「各被害者が性的意図を理解することも抵抗もできない未熟な年齢であることにつけ込んだ、卑劣極まりない犯行である」「被害の記憶が将来の健全な成長等に悪影響を与えることも懸念され、被害結果はいうまでもなく大きい」と指摘。「被告人の刑事責任は重大」と量刑の理由を述べた。 閉廷後、長田被告は職員にうながされるままゆっくりと立ち上がり、おぼつかない足取りで被告人席へと戻っていった。 法廷で「拘置所で性依存症の本を読み、勉強しています。いずれは通院して治療したいと考えており、そのための病院も二つほど見つけています」と語っていた長田被告。 だが、被害者の一人、Gちゃんの保護者の代理人弁護士は、意見陳述の中で、「被告人が被害者を生み出したのは、子供を道具のように扱うという極めて醜悪な人格によるもので、病気のせいなどでは絶対にありません」とはねつけた。 今後、収監されるなかで、自身の「性的嗜好」や「醜悪な人格」に向き合い、少しでも変わることができるだろうか。 取材・文:中平良
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