熱めのお風呂で傷ついた細胞を修復!「 ヒートショックプロテイン入浴で免疫UPを」根来秀行教授
夏に急増した風邪や新型コロナ、マイコプラズマ肺炎などの呼吸器感染症。季節が変わっても咳(せき)や疲労感が続いている人が少なくない。感染症にかかっても速やかに回復するための入浴法を、ハーバード大学&ソルボンヌ大学客員教授の根来秀行さんが指南。感染症予防にも!
免疫を上げ、美肌をつくり、メンタルも強化するタンパク質「ヒートショックプロテイン」はお風呂で増やせる!
「前回の話では、長引く咳の背景に、新型コロナウイルスやマイコプラズマに感染後にも継続する慢性炎症の可能性があるというお話をしました。高熱やのどの強い痛みなど激しい症状が出る急性期を脱したものの、咳や疲労倦怠感などの不調が続いている場合、その解決法の一つとしてお風呂を活用するのもおすすめです」(根来教授) 風邪をひいているときは、お風呂に入らないほうがいいとも聞くが… 「急性期を抜けて体温が下がってきたら、無理しすぎない範囲で、少し熱めのお風呂で体温を上げることによって、感染細胞の傷を癒してくれるタンパク質『ヒートショックプロテイン (HSP)』が増えるんです。 HSPはウイルスや細菌に感染した細胞やがん細胞を見つけ出し殺傷するナチュラルキラー細胞を増やし、その活性を高めてくれるので、HSPが増えると免疫機能が底上げされ、病気の回復が早まります。フリーラジカルを抑えて、皮膚を紫外線から守ったり、コラーゲンを保護したり、美肌づくりにも貢献してくれるんですよ。 また、記憶をつかさどる脳の海馬の神経細胞を守り、コロナうつにも効果を発揮するという報告もあります」 なんて素敵なタンパク質! 「HSPはほかのタンパク質がきちんとした立体構造を持って誕生できるようにサポートし、働きを終えたらきちんと分解されるように導いてくれるんですよ。タンパク質の一生を支え続けるその献身的な働きぶりから、『分子シャペロン』とも呼ばれます。 シャペロン(chaperone)の語源はフランス語で、若いレディが社交界にデビューし一人前になるのを介添えするご婦人のこと。HSPはまさにタンパク質の介添人のようなタンパク質なんです」