熱めのお風呂で傷ついた細胞を修復!「 ヒートショックプロテイン入浴で免疫UPを」根来秀行教授
《HSPはストレスで傷ついた細胞のタンパク質を修復!》 HSPはストレス防御タンパク質。生命が地球上に誕生した際に、強力な紫外線など過酷な条件を生き抜くために遺伝子に組み込まれたのではないかと考えられる。しかし、熱めのお風呂でないと増えないのだろうか? 「HSPはストレスに対抗して増えるので、心地よいくらいの湯温ではストレスにはならず、 HSPは増えません。HSPは熱ストレスだけでなく、病原菌への感染、紫外線、飢餓、薬剤、精神的ストレスなど、どんなストレスにも対応してくれる心強い味方です」 感染症で発熱しているときも、HSPが発動して感染細胞の修復にあたったり、ウイルスや細菌に負けないように免疫機能を高めてくれているのだろう。 「ですから、解熱剤で安易に体温を下げるとかえって回復が遅れてしまうこともあります。高熱であまりにつらいときには、一時的に解熱剤を使うのも有効ですが、むやみに薬で熱を下げるのはよくないです。そもそも発熱は生体の防御機能で、ウイルスや細菌は低温で繁殖するため、体温を上げることで病原体をそれ以上増やさないように抑制してくれているんです。 最近の研究でも、体温が38℃以上になると腸内細菌叢が活性化し、ウイルスの増殖やウイルス感染による炎症反応が抑えられ、インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスに対する抵抗力が上がることがわかっています」 効率よく体温を上げるにはお風呂はもってこいのようだ。 「そうなんです。そこで今回は『ヒートショックプロテイン入浴』をご紹介します。 HSPが熱ストレスによって増える性質を利用して、お風呂の温熱で細胞に適度な熱ストレスを加えHSPを増やします」
42℃のお湯にたった10分「ヒートショックプロテイン入浴」
少し熱めのお風呂に入り体温が38℃を超えると効果的にHSPが増加する。42℃なら10分ほどの入浴でOK。42℃で長湯をすると、深部体温が2℃以上上がって血栓ができやすくなるなどデメリットが出てくるので頑張りすぎないこと。 平熱が低い人は入浴前の体温プラス1.5~2℃以上になることを目安にして。最初のうちは、防水タイプの舌下体温計で体温を確認しながら行うとよいだろう。体温が38℃を超えたら早めに切り上げてもOKだ。 測定直前に飲み物を飲むと正確な体温が出ないので、水分補給のタイミングには気をつけて。 《HSP入浴のコツ》 ① 入浴前、入浴中に十分な水分補給を。HSP入浴法で出る汗は体温調節のための汗でほとんどが水なので常温の水やお茶でOK。汗の出にくい人は特に、入浴前に水分をしっかりとっておくと、のぼせにくくなる。 ② 浴室内の温度が低いと湯温が下がるので、入浴前に浴室の床に温水シャワーをかけたり、お風呂のふたを取っておくなどして、事前に浴室内を温めておこう。湯温は42℃で10分が基本だが、気温が暑いときやのぼせやすい人は1~2℃湯温を下げてよいので、その分入浴時間を長めにする。 HSPプロジェクト研究所の研究によると、41℃で15分、40℃で20分の入浴でHSP効果が得られることが確認されている。炭酸系の入浴剤を入れると血管壁を広げるCO(一酸化炭素)が毛細血管の内皮細胞から分泌され、血流がよくなってスムーズに体温が上がり、入浴時間を短くできる。 ③ 手足に掛け湯をして末端から温めてから、ゆっくりと肩までつかり、最初の数分間は全身浴でしっかり体を温めると、体温がスムーズに上がる。 途中で湯船から出てもかまわないが、休息時間は入浴時間から差し引いて。半身浴で行ってもOK。