竹中工務店・大成建設・清水建設…建設業界で取り組み広がる、「循環経済」の推進力
大成建設 端材運搬のCO2低減
大成建設は日本通運と共同で、「建設副産物巡回回収システム」の構築に取り組んでいる。大成建設が2014年に始めた不燃系建材端材の再資源化の活動に日本通運が23年から協力する形で、再資源化量の拡大と荷量確保による安定運用体制を確立した。 多種多様で混合廃棄物になりやすく、分別やリサイクルが困難な建設端材。個々の現場から再資源化施設までの運搬コストが高く、CO2排出量が増加する課題もある。 同回収システムは複数現場を同一車両で巡回回収し、品目ごとの再資源化施設にまとめて2次輸送できる。建設現場で排出される廃棄物のリサイクル効率化に加え、運搬コストやCO2排出の低減効果を引き出した。 回収時には観音開きタイプのかご台車を使用。異なる品目の建材端材を一つの車両にまとめて運搬することで積載率を向上させた。 今後、「さらに回収システムを充実させていく」(竹尾健一サステナビリティ経営推進本部カーボンニュートラル推進部環境技術室長)考え。回収エリアの拡大、対応品目や建材メーカーの追加、モーダルシフトによる長距離運搬などを進めることにより、「建材サーキュラーエコノミー」の実現を目指す。
清水建設 現場の紙コップを再生
王子ホールディングスと協力し、飲用の紙コップのリサイクルを工事現場で初めて行ったのが清水建設だ。横浜市の工事現場で使用済み紙コップを回収し、ハンドタオルなどにリサイクルする取り組みを現在も続けている。 対象となるのは、従業員や作業員が業務中に使う飲用の紙コップ。夏期は特に、熱中症対策としてスポーツドリンクなどを配布するため使用量が増える。リサイクルを始めるまで、廃棄数が事務所と現場合わせて月540個程度に達し、燃えるゴミと一緒に処分していたという。 リサイクルのカギとなったのは、紙コップを構成する紙とラミネートを分離する王子ホールディングスの技術。また、現場では選別回収を徹底するためリサイクルの仕組みなどを記したポスターを掲示したほか、専用の回収ボックスを設置した。 活動の効果はてきめん。24年5月から3カ月間の回収量は1200個以上となり、回収率の向上や異物混入防止を含めて工事現場でリサイクルを実現するためのノウハウを得た。 今後のテーマは「他の現場にどう展開していくか」(小谷洋史環境経営推進室グリーンインフラ推進部主査)。成果の一層の浸透を狙う。