どん底に落ちた不登校を機に夢を叶えた母の教訓 子どもが失敗から学ぶ機会を奪ったことを後悔
小中高生の不登校の子どもの数は40万人を超えるといわれています。自身もわが子の5年(中学1年の3学期から高校まで)に及ぶ不登校に向き合ったランさんは、その後、不登校コンサルタントに転身。子どもの不登校に悩む親と接すると、相談の入り口は子どもや学校に関することであっても、その背景には、さまざまな悩みや人間模様がありました。 本連載では、ランさんが、子どもの不登校を経験した親に話を聞き、問題の本質、そして相談者自身が見つめ直すことになった人生に迫ります。
著者フォローをすると、連載の新しい記事が公開されたときにお知らせメールが届きます。 「息子の不登校をきっかけに、自分と向き合う中で忘れていた夢を思い出し、実現するなんて思ってもいなかったです」 由紀さん(仮名、44歳)は、中学生(女の子)と小学生(男の子)の子どもがいるお母さんです。なぜ、息子さんが不登校になってしまったのか、それには由紀さんが子どもだったころに抱えていた、あるわだかまりが関係していたことがわかりました。
そこに気づけたことで、息子さんだけではなく、由紀さん自身も変わっていった話をご紹介します。 ■押したり引いたりの毎日 由紀さんの息子さんは小学4年生から学校に行けなくなりました。 「低学年の頃から頭痛や腹痛を訴えてきて、月曜日になると学校に行くのがしんどいと言い出すようになりました。最初は体質のせいだと思っていたんです」 「小学4年生の秋頃から少しずつ学校に行かない日が増えてきて……。この頃の私はどうしていいのかわからず、とりあえず休ませたり、『今週3回学校に行ったら〇〇買ってあげるよ』とご褒美をちらつかせたり、『行ってくれないと私は仕事をクビになる』と脅したり。とにかく学校に行ってほしいという一心で押したり引いたりの毎日を繰り返していました」
そんな日々が約3カ月続いたある冬の日。由紀さんは息子さんの様子を見てあることを感じ取ります。 「その日は大雪が降りました。息子は雪が大好きなんです。いつもなら『先生たちが来られなくて、学校に行けば遊べるかもしれない!』と喜ぶはずなのに、その日は一歩も外に出ようとしないんです。それを見て私は、ああこの子はもう当分学校に行かないな……と感じました」 由紀さんは息子さんの不登校を受け止めましたが、だからといって簡単にあきらめることはできませんでした。