天心VS亀田など”ボクシングもどき”が続く状況を危惧しプロボクシング界がついに怒りの声明表明へ
一連の”ボクシングもどき”企画について、ボクシング界が不快感を示し、今回共同声明を出すことになった大きな理由は、「一般の人から、“これもボクシング”という誤解を受けるし、年末のメイウェザー対天心では体重差の問題もあった。もし事故でも起きたら、さらにイメージダウンが激しくなる」というもの。関係者は「これだけ続くとJBC、ボクシング協会共に看過できない状況にある。なんらかの対応、対策をすべきだという意見が多かった」と言う。 WBSSの決勝へ進出したWBA、IBF世界バンタム級王者、井上尚弥がインパクトを与えるKO勝利を続け、国内だけでなく海外での評価を高め、つい19日に井岡一翔も素晴らしいボクシングで日本人初となる4階級制覇を達成した。そういう本物のボクシングと、”ボクシングもどき”を、一般視聴者やファンに一緒くたにされてしまうと、せっかくの人気回復の流れに水を差される。 日本プロボクシング協会の会長に就任した花形進氏も、「正直、今回の試合(天心vs亀田)に、いい感情は持っていない。格闘技なら格闘技。ボクシングならボクシングと、ルールをハッキリしないと、勝ち負けは決められないからね。私たちは、なんとかボクシングを始める若い人を増やしたいと考えているが、こういう企画がボクシング人口を増やすことにつながるとは思わないねえ」と困惑していた。 JBCと日本プロボクシング協会は手を取り合って競技としてのプロボクシングの厳正なルールをつくり、健康管理、公平性の部分を重要視して競技性と権威を維持してきた。近年も計量に関する独自ルールを設定するなどしてきた。だが、一方で同じボクシングを勝手に名乗られて、いい加減な企画を連発されては、ファンに「これもボクシング」という誤解を与えて長年、積み重ねてきた信頼や努力が台無しになる。 先の天心の1000万円企画の挑戦者決定トーナメントでは「異種格闘技部門」と「ボクシング経験者部門」の2つがあったが、異種格闘技部門では総合格闘家の青木真也が“ドタキャン”。代役に指名した放送作家のアウトサイダー王者が優勝したが、怪我で本番は辞退。急遽、元WBA世界スーパーフライ級王者であるテーパリット・ジョージム(タイ)が、視聴者投票で代役の代役で出場した。現役時代には程遠い内容で、ヘッドギア&12オンスグローブのルールでは、当然、天心を倒すことはできず元世界王者の肩書だけを利用されたようなもの。挑戦者選びの経緯も曖昧でバラエティ色の強い番組作りで、ネット上でも「茶番だ」との声が少なくなかった。ボクシング関係者は、この企画に対しても、あきれると同時に問題視していたが、今回は、元3階級王者が登場するとあって、もう無視するわけにもいかなくなった。ボクシング界としての姿勢を明らかにしておかねば、今後も、この手のボクシングを食い物にする企画に歯止めが利かなくなり、ましてファンに与える誤解は解けない。