中国・日本人学校のバス襲撃、事件後に削除された「反日動画」…中国人が「日本人学校バッシング」に走るおぞましい理由
● 中国のネット空間で回り続ける 「反日動画で稼ぐ」サイクル 今では家電からゲーム・アニメ・ポルノに至るまで、中国では日本のものがよく知られている。だからこそ、日本のネガティブな側面についても、さらに関心を持たれやすくなっている。 インフルエンサーが日本を茶化した動画を作り、視聴者が日本に腹を立てれば立てるほど、反日動画はさらに拡散される。動画が話題になってフォロワーが増えると、商品がさらに売れる。中国の独特なネット社会では今、そうしたサイクルが回っているのだ。 日本では少し前に、靖国神社に落書きして小便をかけた中国人男性「鉄頭」が批判を集めた。この行動は日本人にとっては大迷惑だったかもしれないが、「鉄頭」にとっては、中国のネット社会で一部ユーザーに支持される「悪い国への勧善懲悪」を行ったにすぎない。実は彼もSNSユーザーであり、こうした行動でファンを集めていた。 いわば今の中国人にとって、「カネ」や「フォロワー獲得」が反日運動のトリガーになっているのである。カネ目当てでつくられた動画が、視聴者の問題行動を誘発したとしてもおかまいなしだ。抜本的な対策が講じられない限り、日本は今後も中国人インフルエンサーのネタにされ続けるだろう。 なお中国の主要メディア各社は、日本人親子を体を張って守り抜いた中国人女性が、蘇州市から表彰されたことを報道している。これは彼女の行動が勇敢なものであり、相手が日本人であれ、他人を傷つけるのは間違いだというメッセージを中国のネットユーザーに発信したものだと筆者は解釈している。今回の報道を機に、中国の対日ネット世論の「常識」が少しでも変わることを願うばかりだ。
山谷剛史