[フランス総選挙]統治経験なき右翼、核保有国フランスを治める不安――国際問題専門誌『グラン・コンティナン』代表ジル・グレサニ氏
[2024年7月4日、フランス・パリ](C)EPA=時事
――今回の総選挙で、右翼「国民連合」がなぜ、これほど伸張ぶりを示しているのでしょうか。 理由はある意味、単純です。今回の総選挙は欧州議会選挙の直後、(大統領エマニュエル・マクロンによる)一方的な解散によって始まりました。選挙期間が極めて短かったため、国民連合が大統領与党に圧勝した欧州議会選の流れ 1 がそのまま引き継がれたのです。その結果、欧州議会選と同様に、パリを除く国内ほとんどの地域で国民連合がトップとなりました。今や、国民連合が国民議会(下院)で第一党となるのは間違いありません。残された問いは、過半数を得るかどうかです。 現在のフランスの支持層は、右翼と中道マクロン派と左派左翼でほぼ3等分されますが、右翼は30%よりやや多く、中道はやや少ない。中道と左派左翼が連携すると右翼に勝ち目はないのですが、有権者の反応を見ると、連携はうまくいきそうにありません。世論調査では中道支持層の50%あまりが決選で左派左翼に投票するつもりがない。左派左翼支持層の約50%もマクロン派の候補には投票しない。両者が一緒にやるのは、やはり不自然なのです。
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国末憲人