中国・日本人学校のバス襲撃、事件後に削除された「反日動画」…中国人が「日本人学校バッシング」に走るおぞましい理由
● 「日本人学校」を叩く動画の 阿鼻叫喚のコメント欄とは? そのコメント欄では、今回の襲撃事件を絶賛するコメントや、親子を守って亡くなった中国人女性を非難するコメントが目立つ。もともと反日感情を持っていた人物が、こうした動画を見て恨みを増幅させ、日本人に何らかの危害を加えてもおかしくない状況ではある。 そもそも、なぜ日本人学校が「ネットの中傷」の標的にされているのか。明確なきっかけはないが、まずは2022年9月、ネット上に「日本人学校が中国人の入学を認めていない」ことを批判する動画が投稿された。これは全くといっていいほど反応がなかった。 だが、翌2023年の春節に「日本人学校の運動会の宣誓で、小学生が『上海は我々のもの、浙江省も我々のものだ』と叫んだ」というデマ動画が流れ、大きく拡散された。中国のプラットフォーム側(SNS運営企業など)がデマだと説明して収まったが、それでも一部の中国人は「日本人学校」を不愉快な存在として認識し続けていたのだろう。 その後、悪い意味で行動力のある中国人ネットユーザーが日本人学校を探したり、「日本人学校の前で日本人を倒す」といった趣旨の茶番劇を演じたりするようになった。そして、そうした動画コンテンツにファンがついて盛り上がるようになった。実はスクールバス襲撃事件の10日前にも、日本人学校をネタにする動きが中国のネット上で再燃していた。 もちろん、現時点ではそうした動画と襲撃事件との関連性は立証されていない。だが、ネット上で一連の動きがあった末に、6月24日に痛ましい事件が起きたのは事実である。 それにしても、中国のSNSにおける「日本人学校叩き」には謎が多い。中国での過去の反日運動を振り返ってみると、尖閣諸島の領有権が取り沙汰されたタイミングや、歴代首相が靖国神社に参拝したタイミングで盛り上がっていた。福島第一原子力発電所における「処理水の海洋放出問題」が議論されていた時期も同様だ。このように、何らかのトリガー(きっかけ)があったからこそ反日運動が過熱したと言える。 だが今回は、日本叩きのトリガーになるような出来事はほとんどない。むしろ、Huaweiへの制裁を加速させている米国のほうが、中国人の反感をかき立てるような政策を展開している。