中国・日本人学校のバス襲撃、事件後に削除された「反日動画」…中国人が「日本人学校バッシング」に走るおぞましい理由
● 事件後に動画削除… 人気反日インフルエンサー「凌一」とは 動画を配信してファンを集めれば、単に再生数を稼げるだけでなく、その動画をきっかけに商品を買ってもらえる。この手法がコロナ禍以降(特に去年)から広く知られるようになった。中国のECサイトはAlibabaが手掛ける「淘宝網(タオバオ)」が主流だと思っている人もいるかもしれないが、それは昔の話。今はタオバオのライバルは多数ある。 なぜECの話をしたかというと、ドウイン上で活動している反日系インフルエンサーも、この手法で稼いでいるからだ。特に「凌一」という人物は60万人を超えるフォロワーを獲得し、ファンにとっては痛快な「抗日茶番動画」を出しながら商品を売っていたことが分かっている。 ちなみに、「凌一」は名門である「中央民族大学」の学生だとされている。だが冒頭のスクールバス襲撃事件後、この人物の動画は削除された。 中国政府によるコンテンツ規定では、暴力・ポルノ・ギャンブル・自国(中国)の否定・民族蔑視・誹謗中傷などは禁じられている。ドウインやクワイショウなど、全てのプラットフォームがそれに従っている。年に一度、あらゆるサービスから不良コンテンツを一掃する「浄網」という取り組みも行われ、規定違反の動画は全て消されている。 ところが、この「民族蔑視や誹謗中傷の禁止」は外国には当てはまらないようだ。反日系動画はずっと放置されたままで、このことがファンをさらに喜ばせている。 日本以外の国に関しては「何でもかんでも動画のネタにする」いうわけではなく、イスラエルによるガザ侵攻に心を痛めている中国人も多い。だが困ったことに、反日系コンテンツは動画プラットフォームで受け入れられやすい。 なぜかと言うと、中国人は日本のことを古くからよく知っているからだ。 そもそもSNSが普及する前の時代から、第二次世界大戦などを舞台にした「母国の英雄が日本兵を倒す」という趣旨の作品がテレビドラマでよく流れていた。中国人が日常的に触れてきたものであり、知人との共通の話題にもなりやすい。 また50代以上の人は文化大革命を経験した結果、ハイテクや新しい知識にやや弱いという傾向がある。悪い日本人を倒すというシンプルで分かりやすいストーリーを真に受け、嘘の寸劇を嘘と見抜けないまま、のめり込んでいる人もいるだろう。