観光に、出張に、仮住まいに…~安さが魅力の住まいのサブスク
被災地でボランティアの拠点開発~二地域居住を推進するためには
7月下旬、石川・金沢市に佐別當の姿があった。2024年の元日、マグニチュード7.6という巨大地震に見まわれた能登半島を視察するためだ。 「継続的にボランティアが訪れる中で、住む場所、泊まる場所が被災地の近くにないとか、交通費、宿泊費が高いという問題が出ているという話を聞いたので」(佐別當) 輪島市内に入ると、倒壊した家屋があちこちでそのままになっていた。理由の一つが人手不足。自治体が解体にあたる公費解体は作業員の手が足りず、まだ全体の10.5%(8月31日時点)しか進んでいない。 金沢から輪島方面に向かうには県道「のと里山海道」(一部区間は能越自動車道)が頼り。何かあれば簡単に陸の孤島と化してしまう。能登半島の奥に進めば進むほど、作業員やボランティアの拠点となる場所も少なくなっている。 そこで佐別當は、能登半島に新たなアドレスの施設を作ろうとしている。候補地は金沢と輪島の中間に位置する羽咋市周辺。いくつかの物件を所有するオーナーを訪ね、建物の下見を行うことになった。 まず作ろうとしているのはボランティアのための施設だが、佐別當はその先の展開も考えている。羽咋市には日本で唯一、車で浜辺を走れる千里浜という観光名所がある。能登の復興が進んだら、今度は観光客を呼び込める施設にしようというのだ。 「ここに来るきっかけがアドレスを通して何十人、何百人とできると、その人たちがまた周りの人に伝えてくれるので、来る機会が増やせる場を作りたいと思っています」(佐別當) スタジオで多拠点生活の魅力を説いた佐別當は、石川県に対して「二拠点生活を送る人に住民票をもう一つ石川県が配布してくれないか」という話をしていると明かす。 佐別當が提案する第二住民票とは、二拠点生活を送る人が両方の自治体に税金を納める代わりに、両方で公共サービスを受けられるようにするというものだ。 二拠点で通える学校の仕組みを、ひと足先に始めた自治体もある。