テレビ各局「選挙特番」で分かれた“勝ち組”と“負け組” 視聴者が求めたのは「演出」ではなく「安定感」
■テレ東の選挙特番で注目を集めた「アキダイ社長」 テレビ東京は、例年同局の選挙特番の“顔”となっているジャーナリストの池上彰氏が米大統領選挙を取材のため今年はスタジオに不在。米ニューヨークからの中継でのメッセージ発信のみにとどまる中、同局の大江麻理子キャスターが司会を務める選挙特番「集まれ!総選挙ライブ」を放送した。 「テレ東ならではの各界の専門家やゲストの力を総結集し、選挙という“お祭り”を楽しく観戦し、語りたくなるような選挙特番」を標榜し、石原良純や坂下千里子、ウエンツ瑛士、ゆうちゃみら多彩な顔触れがゲストとして出演した。 そんな中、ひと際注目を集めたのがスーパーマーケット「生鮮市場アキダイ」の秋葉弘道社長だった。 秋葉社長は「明日の仕入れのため」と途中退席したり、「やっぱり異常気象の影響ってありますよね。キャベツとかが急になくなっちゃったりとか。これから多分キャベツ高いですよ」とこぼしたりと自由な発言が話題になった。 その一方で、「最低賃金(時給)1500円」を一部の党が選挙の公約に掲げていることに対しては、「私たち経営者の方にしてみたら、最低賃金を上げると保険料も上がるわけですよ。すべて企業任せみたいな。中小企業をつぶしにかかってるんじゃないかと不安に思うんです」などと政策に苦言を呈する場面もあった。 これはXでも一時期トレンド入りし、世間の話題となった。 「秋葉社長のコメントは国民生活や視聴者の感覚に近いものがあり、下手な識者やコメンテーターよりも共感をおぼえた人も多かったのではないでしょうか。池上さんの不在で視聴率的には苦戦した部分もあったようですが、秋葉社長をはじめ個性豊かな出演陣をブッキングしたり、生放送中にセットの模様替えをしたり、テレ東らしさ全開の独自スタンスでキッチリと爪痕は残したと言えるでしょう」(同) 次の選挙特番では、どの局がNHKの牙城に迫れるか。来年7月の参院選でも注目が集まる。 (立花茂)
立花茂