〈帝国ホテル 寅黒〉は、数少ない星をもつホテルの日本料理店らしく、極上の美食体験ができる!
1890年に開業した、ホテル御三家のひとつとして知られる〈帝国ホテル 東京〉。ミシュランガイドで3つ星に輝き続ける〈神楽坂 石かわ〉や〈虎白〉を擁する石かわグループとタッグを組み、2021年11月1日にオープンしたのが〈帝国ホテル 寅黒〉。ミシュランガイドで1つ星として掲載され続け、人気を博しており、2024年7月29日に同じ地階の別の場所に移転オープンした。
ファサードは凛とした落ち着いた佇まいで、気品が感じられる。エントランスを入ると、金魚が泳ぐ“つくばい”があったり、掛け軸や生花があったりと、日本料理店らしい余白の空間があって心が和む。10mのカウンターは、ゆったりとした14席。落ち着きのある照明で、適度に活気がある。3つの個室が設けられているから、特別な集いにもちょうどいい。 オープン時から引き続き、鷹見将志さんが調理長を務めている。1991年栃木県鹿沼市で生まれ、料理人だった父親の背中を見て育つ。子どもの頃の夢であった日本料理の料理人になることを目指し、専門学校を卒業すると石かわグループに入社。そして、若手の実力派であった鷹見さんが〈帝国ホテル 寅黒〉調理長として抜擢された。 鷹見さんが提供するのは、旬の食材をふんだんに用いた“おまかせコース”(4万2000円)。10品前後のコースで、先付、揚物、椀物、造り、中皿、焼物、冷物、煮物、食事、甘味という流れになっている。 1カ月半くらいでメニューは新しくなるので、秋の一例を紹介しよう。
先付は“松茸すり流し 茶碗蒸し 銀杏 木耳 酢橘”。すり流しにした松茸はのどごしがよくて香り高い。上にのせられたコリコリっとしたキクラゲ、下の茶碗蒸しにしのばされた銀杏がよいアクセント。途中で酢橘を搾って味変も楽しめる。
“秋刀魚の春巻き 昆布塩 梅おろし”は、味わいがしっかりとした秋刀魚を肝ごと揚げ、マイルドな味わい、かつ、パリパリっとした食感に仕上げた。梅風味の大根おろしで、さっぱりとさせている。