W杯優勝は自国出身監督の歴史に終止符を打てるか?「母国」代表に史上3人目の外国人監督 トゥヘル氏、ドイツ人指揮官の強みとは―
トゥヘル・イングランド代表監督誕生の背景には、イングランドに実績十分な監督が少ないということも挙げられる。プレミアリーグを制したクラブを振り返ると、昨季まで4連覇中のマンチェスター・シティーはグアルディオラ監督(スペイン人)、その前の2019/20を制したリバプールはクロップ監督(ドイツ人)、2017/18、2018/19はグアルディオラ監督のマンチェスターCが制している。その前も2016/17年はコンテ監督(イタリア人)のチェルシー、さらに2015/16年はラニエリ監督(イタリア人)のレスター・・・と外国人監督ばかりが栄冠をつかんでいる。もちろん、豊富な資金力を持つプレミアのクラブが有能な監督を欧州だけでなく、世界中から集めているのだから、国籍が多様になるのは自然かもしれない。しかし、伝統と格式のあるイングランド代表チームを任せられるだけの、誰もが納得するような実績をイングランド人監督が残せていないこともまた、事実なのである。 統計によれば、トゥヘル氏が率いたチームは平均して2点以上のゴールを奪っている。 マインツは強豪ではなかったことを考えると、ドルトムント以降のチームでは常に高い得点率を誇っている。トゥヘル監督の地元であるドイツの主要メディア「DW」は「イングランド協会は前任のサウスゲートにはなかったエリートレベルの指導を求めている」と高い指導力がイングランド代表監督就任の理由となったと分析している。 トゥヘル監督の契約期間は18か月間で、2026年のワールドカップ(W杯)までとなっている。イングランド代表は前任のサウスゲート監督の下で2018年ワールドカップ(W杯)ロシア大会でベスト4、2022年カタール大会はベスト8、欧州選手権は2021年、2024年と2大会連続で準優勝だった。あと一歩のところで届かなかった国際タイトルの称号をイングランドは欲している。 1930年に始まり、過去22回のワールドカップ(W杯)で優勝したチームは、全て自国出身の監督だったという歴史がある。欧州予選は3月に始まる。その「壁」を打ち破る長い長い挑戦が、始まる。
VictorySportsNews編集部